税金 / Tax
租税は国家の公共のサービスなどの資金の調達のため、国民の財産の一部を国家に最終的には強制執行により移してしまうものです。香港においても日本と同じく租税は、法律の根拠に基づいて税金を賦課、徴収します。これを租税法律主義といいます。
オフショア香港の租税制度、租税回避地の税金、税務 Offshore
オフショア香港の租税制度は、日本と異なり複雑ではなく、世界の租税回避地として発展してきた歴史があります。消費税や酒税などのような間接税がなく、所得税のような直接税だけ賦課されます。税目には所得税(Income Tax 中文;入息税)、給与所得税(Salaries Tax 中文;薪俸税)、法人税(Profit Tax 中文;利得税)、財産所得税(Property Tax 中文;物業税)、印紙税(Stamp Duty 中文;印花税)、関税とその他手数料(Duties,Fees and Charges)などがあります。
※直接税と間接税とは、税金を納付する人(納税義務者)と税金を実際に負担する人(担税者)が同一人である税金を直接税といい、納税義務者と担税者が異なる税金を間接税といいます。
直接税(税金の納付者=負担者)
間接税(税金の納付者≠負担者)
日本の相続税が増税へと舵をきっているなか、香港の相続税にあたる遺産相続税(Estate Duty)は2005年に既に廃止されています。
香港政府は、過去に財源確保のため、日本の消費税にあたる5%の販売税(Goods and Services Tax)を導入しようとしましたが、シンガポールと異なり断念してきた経緯があります。しかし、香港の財政収入の幅が狭いことから販売税の導入は引き続き課題となっています。外国人投資に対する法人税の減免や控除のような優遇処置がなく、外国法人、香港の法人は同等の対応を受けることになります。
相続税ゼロの香港が人気 5年超の海外居住が基準に
日本のように相続税を増税する国は、世界を見渡しても珍しく、日本の新裕福層たちは海外に資産と生活拠点を移し始めています。
香港の相続税と贈与税はゼロ、所得税や法人税も10%代と、日本と比べてはるかに租税負担は大幅に軽減されているのがおわかりだと思います。
日本 | スイス | マレーシア | シンガポール | 香港 | |
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個人所得税 最高税率 |
50% | 30% | 26% | 20% | 17% |
法人税 最高税率 |
40% | 29.5% | 25% | 17% | 16.5% |
インカムゲイン税 (配当・利子税) |
20% | 35% | 26% | なし | なし |
キャピタルゲイン税 (譲渡益税) |
20% | なし | なし | なし | なし |
相続税 最高税率 | 50% | 6% | なし | なし | なし |
贈与税 最高税率 | 50% | なし | なし | なし | なし |
消費税 | 5% | 7.6% | なし | 7% | なし |
租税回避を狙って今後も広がりそうな海外投資ですが、日本の税務当局も海外資産の取り扱いをめぐって高いハードルを設け出しています。一つの分岐点となったのが、2000年の税制改正となり、財産をあげる側ともらう側のどちらも過去5年以内に日本に住んでいれば、海外にある資産であっても相続税や贈与税を課税することになりました。
背景には、子供が海外に住居を移した直後に、海外に移しておいた財産を贈与する動きが相次いだことがあります。そこで、少しでも税収を上げたい日本の税務当局が海外資産に対する基準を変更したというわけです。
つまり、今後、相続税や贈与税の課税を回避するためには、財産をあげる側ともらう側、双方が海外に5年以上住んでいなければ、ならないことになります。
また、日本国内の居住者に対する海外資産の報告制度は2013年度税制改正では、預貯金や株式などの5000万円以上の海外資産について、毎年、税務署への報告を義務付けました。海外資産の報告制度は2013年からの適用となり、違反者にに1年以下の懲役または、50万円以下の罰金が科せられます。
このように日本では、今後さらに政府の財政危機から税収確保への向けて増税が予想されます。