就労ビザ / Employment as Professionals
香港入国時に自動的に90日間の訪問ビザを取得できますが、あくまでも訪問に限定されているので、香港国内での就業を行う事は認められていません。
そこで、就業する意図で香港に90日以上の赴任される方や、現地採用の方が就労のために取得するのが、この就業ビザです。
正式名称は、Employment as Professionals in Hong Kong/専業人士来港就業と呼ばれており、香港政府の一般就業政策/General Employment Policy;GEPに準じてビザ発行の可否が判断されます。
Professionalsと表記されているように、香港政府としては基本的に香港経済に貢献できると考えられる優秀な人材を受け入れることを目的としているため、香港地域に必要性があり不足している特別技能/Special skills、知識や経験/Knowledge or Experienceを有していることが、一応建て前となっています。
なお、香港で全日制の学位やそれ以上の学歴を取得した非香港人はIANGが適用され、アフガニスタン・カンボジア・キューバ・ラオス・北朝鮮・ネパール・ベトナム国籍を有する人は、この一般就業政策/General Employment Policy:GEPを根拠に就労ビザを申請することはできません。
就業ビザ申請 Employment VISA
一般就業政策(General Employment Policy:GEP)の申請適格者、および申請方法などご案内します。GEPは香港の大学を卒業した外国人学生以外で、特別な技能や知識・経験を持つ以下の条件を満たす者と規定されています。
申請資格 Eligibility Criteria
申請人は、香港地域に必要で不足している特別技能/Special skills、知識や経験/Knowledge or Experienceを有していること。
その他、以下の準則に則って可否を判断します。
- 保安上の理由で入国拒否の履歴や、犯罪の記録が無いこと
- 良好な学歴(通常事は学士資格以上)を有すこと。例外的に特殊な状況下においては、良好な技術資格、専門能力、書類で証明可能な関連の経験や実績も可
- 雇用先(スポンサー企業)に、空席のポスト(職位)が確実にあること
- 申請者は雇用先(スポンサー企業)への雇用が確定しており、且つ業務は学歴や業務経験に見合ったもので香港人に代替不能であること
- 申請者の給与やその他の待遇が専門職としての標準的な報酬(給与・住宅・医療その他福利厚生を含む)を満たしていること
- 中国本土の国籍を有す人は海外永住権所有者か1年以上継続して海外居住している場合は、当該、一般就業政策/GEPが適用可能
就業ビザの申請者要件としては、香港で行う業務に対して十分な知識と経験を持ち、香港人に代替が困難である事の説明を求められます。イミグレでは大卒で5年、高校・専門学校卒で10年以上の業務経験を判断基準にみているようです。また、その職位に相応しい管理職・専門職としての肩書きと給与・福利関係の雇用条件の確認も求められます。
日本食レストランのシェフや美容関連サービス業のヘアスタイリスト・ネイリスト等の技術系の職種については、香港人技術者の普及に伴いイミグレに対する合理的な専門性の説明が難しくなってきています。申請者の差別化できるポイントをよく確認のうえ申請方針を検討する必要があります。
雇用先(スポンサー企業)の審査要件として、香港法人の売上実績や現地スタッフの雇用人数など香港経済に対する貢献を審査されます。特に2016年以降は現地雇用の拡大努力について、イミグレが具体的な証明の提示を求める姿勢を強めています
申請方法 Application Procedures
香港で就労予定の申請者と、雇用主である香港法人の2者がイミグレに申請することになります。
それぞれの申請用紙が用意されていますが用紙番号はID990AとID990Bとなるほか、それぞれの添付書類が別途必要となりますが、申請者や雇用主の申請内容や状況により、追加資料が必要な場合があります。
以下基本的な必要書類です。
まずは、就労する申請者側が用意すべき申請書と添付書類です。
申請者 Applicant/申請人
- 申請書(Application for Entry for Employment as Professionals in Hong Kong/專業人士来港就業申請表)(ID 990A)
- 申請者の顔写真: 縦5cm × 横4cmを2枚(Recent photograph)
- パスポートの顔写真のページをコピー(Photocopy of the applicant’s valid travel document)
- 香港IDを所有していればそのコピー(Photocopy of the Hong Kong identity card)
- 英文の最終学歴証明及び資格証明書、転職をしている場合その前職の退職証明書、香港への転勤の場合、現職の出向指示書(Photocopy of proof of academic qualifications and relevant work experience)
- 扶養家族ビザ申請する予定がある場合、発行日より3カ月以内の戸籍謄本をもとに日本領事館にて英文家族証明
次に、雇う側の香港法人が用意すべき申請書と添付書類です。
雇用主・スポンサー Employing Company/聘用公司
申請者は当然ながら、雇用主であるスポンサーも審査を行います。就労ビザ申請者が非常に優秀であっても、雇用主にビジネス活動の実体が無ければ審査は通りません。スポンサーも非常に重要な審査対象の一つとなっているため、就労ビザで転職を考える際には事前の確認が必要です。
- 申請書(Application for Employing Professionals in Hong Kong/聘用専業人士来港就業申請表)(ID 990B)
- 申請者との雇用契約書もしくは採用通知書(Photocopy of the company’s employment contract with or letter of appointment to the applicant containing information about post, salary, other fringe benefits and employment period)
- 商業登記証のコピー(Business Registration;BR Certificate/商業登記証)※18カ月以内に非香港人の就労ビザなどの許可得ている場合、イミグレにデータがあるので本書類を含む以下不要
- 会社の財務状況を表す書面のコピー(Proof of financial standing/公司経済狀況的証明文件)、例えば最新の監査報告書(Latest audited financial report/最近経審計的財政報告)や、損益計算書や所得税申告書(Trading profit and loss account, or profit tax return/営業損益表或利得稅報税表)
- 事業内容詳細(Documents with details of company background/有関公司背景詳情的文件)、例えば、運営に関わる営業許可証、賃貸契約書、社員リスト、資本関係図、従業員組織図など(商品カタログ、会社カタログなどあれば尚可)
- 12カ月以内に設立された会社の場合、詳細な事業計画書(Detailed business plan/詳細的業務計画)例えば、資金源、資本金額、予想売上高、翌年の粗利、純利益等
パスポートにEEPを貼り付ける Travel Documentation Requirement
申請が批准されると、申請者はビザ/査証ラベルシール(Exit-entry Permit;EEP/進入許可表簽)が発行され取得することができます。この時点では、まだビザはあくまでもシールであり有効ではないため、発行書類に記載されている期間内(通常90日)にビザの有効化(アクティベート)を行うことになります。
香港に滞在しているか否かによって手続きが分かれますので以下で解説します。
ビザ取得者が香港にいる場合
香港からの出国がいったん必要となります。出国先は日本である必要はなく、もっとも近い国外である深センやマカオで大丈夫です。
香港へ再入国する際に、香港イミグレーション/入境審査の職員にビザシールが貼られているパスポートページを開いて提出してください。貼っていない場合は、パスポートをシールを提出してください。
入境審査の列は複数ありますが、"Visitors"ではなく、"Hong Kong Resident"の列に並ぶ必要があります。その後、イミグレーションの職員によりビザを有効とするスタンプがラベルに捺印され、ビザが有効となります。
ビザ取得者が香港にいない場合
当然香港以外の国からの入国となると思いますので、香港からいったん出国する必要はありません。出国の必要性以外は、上述の香港にいる場合と変わりません。
滞在期限の延長申請 Extension of Stay/延長逗留期限
最初の就労ビザでは、最大24カ月もしくは労働契約期間までの有効なビザが発行されます。期間満了日となる4週間前よりイミグレーションにてビザの更新/延長申請が可能となり、批准されると通常“3年-3年”と有効なビザが発行されます。
さて、数年にいちどビザの更新が面倒な方むけに、以下の条件を満たす場合に限り、トップ人材(Top-tier employment/頂尖人才)ビザを申請し、香港イミグレーションに認められた場合は一気に6年間の延長ビザが発行されることになります。
- 本稿の一般就業政策/General Employment Policy;GEPのもとで、プロフェッショナル従業員(Employment as Professional/專業人士)として批准され香港で2年以上就業していること
- 香港での給与所得申告額(Assessable income for salaries tax)が年間200万香港ドルに達していること
このトップ人材(Top-tier employment/頂尖人才)と認められた場合は、一気に6年間の延長ビザが発行されることになります。
延長条件 Conditions of Stay
本稿の一般就業政策/General Employment Policy;GEPで就労が認められたプロフェッショナル従業員(Employment as Professional/專業人士)は、あくまでもいイミグレが許可した被雇用のみ可能とする専業義務があります。
つまり、転職によりスポンサー/雇用主を変更する際には、イミグレの批准を再度受ける必要があります。ビザの有効期間が残っていると、仕事を香港で始めてしまう方がたくさんいるのですが、それは違法となりますのでビザ有効期間内外問わず、新しい雇用先が見つかれば、以下で説明する雇用主の変更申請/スポンサーチェンジによる延長申請手続きを行うことになります。
ただし、前述のトップ人材(Top-tier employment/頂尖人才)での許可を得ている場合には、イミグレに書面で通知するだけで足ります。
雇用主の変更による延長申請 Sponsor change
香港国内で転職先が内定し、スポンサー企業(現雇用主)を変更する際は、イミグレーションにてSponsor changeの手続きが必要です。
トップ人材(Top-tier employment/頂尖人才)ではなく、一般的な就労ビザのステータスで退職や解雇となった場合、雇用主の変更/スポンサーチェンジを行わない限り、他社での就労はもちろんのこと自営業やアルバイトも禁止されています。したがって、雇用主と申請者が再度、本稿のEntry for Employment as Professionals in Hong Kong/專業人士来港就業入境を申請することになりますので、香港政府の一般就業政策/General Employment Policy;GEPに準じてビザ発行の可否が再度、判断されることになります。香港人に代替する事が困難な業務上の経験や知識が求められます。
雇用主の変更手続きをおこなう申請者はイミグレ側にも過去のデータで確認できますので、新規の申請に比べ審査が申請者側の審査がスムーズに行われます。
一方、雇用主側で過去に外国人の雇用実績がない場合には、会社側の実績やその雇用による香港経済への貢献などが、再審査されますのでご注意ください。スポンサー変更であっても新規の就労ビザ取得の時と同等の戦略を慎重に考えた上でスポンサー変更の手続きをおこなうことが重要です。以下、新しい雇用主の審査基準は新規と同様で以下のとおりです。
- 雇用先(スポンサー企業)に、空席のポスト(職位)が確実にあること
- 申請者は雇用先(スポンサー企業)への雇用が確定しており、且つ業務は学歴や業務経験に見合ったもので香港人に代替不能であること
- 申請者の給与やその他の待遇が専門職としての標準的な報酬(給与・住宅・医療その他福利厚生を含む)を満たしていること
極端ではありますが製造業の専門職から金融業の専門職などと内容が大きく変わる場合は、申請者側の審査が通常に比べて厳しくもなります。就業ビザを取得した同業種での転職であれば業務の専門性を説明できるためビザスポンサー変更申請が有利です。また、業務内容によってはビジネスライセンスの取得が就業ビザの審査要件となります。
申請者側の添付書類としては、香港内の前企業の退職証明書が必要となりますので、香港で再就職する際には退職する会社でも円満退職を心がけ退職証明書を取得しておいてください。
企業合併の場合も所属する被雇用者のスポンサー変更申請が必要
会社の合併によりスポンサー会社が変更となる場合は、スポンサーの変更手続きが必要です。香港法人2社が合併する場合、存続会社となる法人で就業ビザを取得している方は何もする必要はありませんが、吸収合併される法人で就業ビザを持っていた場合はビザスポンサー変更の申請を行う必要があります。
例えば、A社とB社が合併し「A社が存続会社」となるケースでは以下のような手続きとなります。
- 元々A社に所属している方のスポンサー変更は不要。
- 元々B社に所属していた方はスポンサーをA社に変更。
- 家族が取得する扶養家族ビザの変更は不要。
会社合併時だけなく、駐在員事務所が現地香港支店・法人へと変更された場合や、親会社から子会社への転籍などの場合も、スポンサー変更が必要となります。
扶養家族の入国準備 Entry of Dependants/受養人的入境安排
ビザ所有者がビザスポンサー(保証人)となり、帯同家族のためにビザを取得します。
香港において就業・就学が可能なビザ所有者・永住権所有者・香港人は香港の受養人政策(Prevailing dependant policy)に準じて、配偶者あるいは18歳未満の子供が取得できるビザです。子供は18歳未満で家族をビザ取得している場合、満18歳以上であっても家族ビザの延長申請ができます。
詳細はこちら扶養家族ビザにて解説しています。