市場の大幅な上げ下げは回避不能
本年も半年が経ち、下半期の市況を分析する時期となった。
下半期の市況を予測する前に、まずは香港株式市場の上半期のパフォーマンスを振りかえってみる。上半期の香港株式市場はまるでジェットコースターのようである。回復基調が支持される中、ハンセン指数の第1四半期は21,760ポイントの高みを見せたものの、その後欧州信用不安が足かせとなり反落、そして再び年初めの水準へ回復した。テクニカル分析上では、ハンセン指数は先に高く後は低いトレンドを形成している。このようなトレンドから、下半期は上半期の底値である18,056ポイントを下回る指数がいつ出現してもおかしくはない。
基本的要因の側面では、欧州信用不安は継続して香港株式市場をリードし、今後の市場パフォーマンスの最も大きな要因となる。欧州信用不安の混乱はすでに2年以上も続いている。金融不安が未解決な上、ますます深刻となるなか、欧州経済大国のイタリアとスペインはすでに影響を受けている。この先数ヶ月でイタリア・スペインの両国は巨額の債務返済期限を迎え、イタリアがスペインの二の舞を踏んで支援を必要とするかどうかが市場の焦点となるであろう。たった1つのギリシャが全世界の金融市場を無茶苦茶にしてしまい、イタリア・スペインの順番がめぐり、全世界のマーケットを揺るがす事態になっても決して不思議ではない。「大破綻させられない」前提のもと、EUなどの組織はイタリア・スペイン両国の救済に全力を尽くす情勢となるであろう。しかし、こういった支援を得ることと欧州信用不安が解決を得ることは決してイコールではない。欧州信用不安がぐずぐずしているようでは、全世界の株式市場は大幅に揺れ動き続けるであろう。
欧州のほか、米中の要因にも注目しなければならない。中国においては、経済の下落速度が予想よりも速く、中央政府と人民銀行は将来的に経済を安定させる為、より多くの経済施策を推し進める情勢となるはずである。しかし、施策が有効であるかどうかは成果を待って見極めるべきである。欧州は中国にとって最大の貿易相手だ。欧州の厳しい情勢は、中国の経済回復の難易度を上昇させてしまう。米国においては、今年は大統領選の年のため政治的配慮が働き、連邦準備制度理事会(FRB)とワシントン政府は将来的に経済刺激施策を出すと見られる。両国を比較すると、米国情勢の方がやや明るいようである。
結論として、ユーロ圏が解体するか、いずれかの国家が不履行に陥らない限り、下半期の香港株式市場が大規模なアップダウンを維持する可能性が大いにある。ハンセン指数は長い期間、18,000から22,000ポイントの間で推移するであろう。