先行きに光は見えず
日本経済はここ2期連続でマイナスを記録。テクニカル分析上、日本経済はリセッションに入っており、4月の消費税増税が経済下落の元凶の一つとなっている。近年、安倍首相は脱デフレのため円安及び消費税増税を行っているが、物価が上昇するばかりで経済を下支えできておらず、その要因はこれらの政策が日本経済の根本的に解決につながっていない事にある。
また、円安と増税がもたらすインフレは好ましいとは言えず、本当の意味で経済利益となるインフレとは国民の消費意欲の向上によって触発されるべきであろう。日本経済のリセッションはアベノミクスに打撃を与えており、退勢を挽回する為には、安倍首相は消費税増税のタイミングを延期せざるをえない。もし日本経済がこの先1、2四半期で好転の気配を得られ無ければ、アベノミクスは完全に崩壊することになろう。アベノミクス及び経済先行きを守る為に、安倍首相はこの先更なる量的緩和を日銀に求める可能性もあろう。
欧州のソブリン債
日本経済が混乱する一方で、欧州の情況もまた思わしくなく、多くの国々がリセッションに陥っている。極度に財政に支援を求める事になれば、欧州の国々は欧州内銀行によってソブリン債を売却される脅威に直面する可能性がある。バーゼル協定によって、銀行は単一の相手に25%以上の投資を行えない事になっている。もし欧州の管理当局が投資上限を10%と設定した場合、欧州域内の銀行はすぐさまソブリン債の保有高を引き下げると見られ、その規模は1.3兆ユーロ以上、うち約3千億ユーロがドイツのソブリン債となる。大挙してソブリン債が投げ売りされる事になれば、債券の金利を押し上げ、とうに弱りきった欧州経済に新たな打撃を与えることになろう。
ロシアのルーブル安
欧州域内の銀行がソブリン債を売却するか否かに加えて、ロシアの経済状態も見落とさないよう注意したい。ロシアの主に石油販売で収支を維持しているため、国際的な原油価格の上昇及び下落がロシアの財政一定の圧力となる。このほか、今年は大幅なルーブル安となっており、貨幣価値の下落により投資家からのルーブル建て資産すべてが信頼を損ない、資産価値はダメージを受けている。欧州と隣り合うロシアで、ひとたび金融危機が勃発すれば、欧州が真っ先に影響を被ることになる。