短期的に安定化対策で下支え
HSBC発表の中国の9月製造業PMIは初期値が50.5へ上昇し、市場予想を上回った。多くの指標で改善が見られたものの、生産、雇用統計では依然として経済への下方圧力がかかっていることが表れている。9月の生産指数は51.8と報じられており、前月からの低水準が続く。雇用指数は11カ月連続で低下し、46.9となっている。製造業データのほか、最近発表された物価、輸入、不動産市場などのデータでも中国経済の下振れリスクが存在する。
数カ月前に、中国政府は多くの微調整や安定化対策を行った。その結果一旦は、経済が好転するかのように思われたものの、残念ながら短期的な好転にとどまり現在は下落傾向となる。つまり、現状の中国の困難な局面を解決できなかったことが反映されているといえる。中国本土経済は、実際、構造的問題に覆われており、単なる微調整や安定化対策に頼っていても、構造問題を根本的に解決することは不可能であるため、改革によってのみ中国経済の活路となろう。しかし、膿を出す改革には時間を要する上に複雑な道のりとなるため、中国本土経済が短期間で弱含みから脱出する可能性に期待するのは現実的ではないだろう。
今年の成長目標は諦めモード
ある報道では、中国政府はすでに今年の成長目標を諦めており、改革の内容に焦点を当てている。いったん本当に成長目標を政府が放棄していると判断した場合、市場は政府が二度と経済対策を講じないのはないかと失望することになる。
これまでに李克強首相は、経済成長が目標よりも僅かに高いもしくは低いとしても許容できるしており、この言い回しは、政府が経済成長の数値目標達成にそれ程こだわっていないことを意味している。ここから推測するに、中国政府が成長目標を放棄している可能性は有る。しかし、成長目標の放棄が刺激対策を以後、打ち出さないということではなく、微調整や安定措置では構造問題を解決することはできないが、安定化対策は、短期経済のパフォーマンスの方で依然として効果がある。改革による明確な効果を得る前に、政府は引き続き微調整や安定化対策に頼って経済を下支える可能性は大いに有り、鉄道の拡大やインフラ建設の投資なども刺激策の重要ポイントとなろう。
四中全会(中国共産党第18期中央委員会第4回全体会議)を10月に控え、会議の開催期間やその前後に政策が発表される可能性があろう。