株式市場に潜むチャンスとリスク
香港株式市場における特有の相場格言、「五窮六絕七翻身(5月に下がり始め6月も続落し、7月に底打ち後に反転)」が存在するが、今年の香港市場は「五不窮,六不絕,七月更來個大翻身(5月に下がらず、6月も続伸7月に大幅上げ)」という状態となり、年明けの底値から計算すると、ハンセン指数の累積上昇幅は3,000ポイントを上回っている。
海外からの資金が7月から大量に流入したせいで香港の株式市場の7月に桁外れの伸びを見せ、最近では香港株式市場が三度目のブルマーケット・強気相場に突入している評価する分析が次々と見られる。多くの人々が香港へのホットマネー流入を「滬港通(上海香港・ストック・コネクト)」によるものだと見ているが、「滬港通」が香港株式市場に第3の強気相場をもたらすか否かについてまだ断定できない。
「滬港通」とは、滬Hùとは上海の別名。港Gǎngとは香港の別名。上海と香港証券取引所の間で相互の上場株式の売買注文を取り次げる「滬港通(フーガントン)」互聯互通(相互乗り入れ)
なぜなら資金の絶対量は株式市場の相場を左右するあくまでも要因の一つに過ぎないからだ。
また、ホットマネーと株式市場は必ず相性がよいとは言えず、短期筋の大口投資家らが充分な利潤を確保したと感じた際には、ホットマネーはやはり短期間で大挙をなして流出する可能性があるというわけだ。
政治・経済面に注視しつつトレンドの波に上手く乗ること
現在、香港株式市場は楽観的な投資雰囲気であるが、今後の相場には政治、経済と関連する多くの不確定要因が事実上潜んでおり、いったん表面化するといずれもその雰囲気に十分影響を与える。
まず、政治面では、全人代(中国全国人民代表大会、国会に相当)は、じきに香港政治制度改革の法案の枠組みが出てくると見られており、全人代の決断によって香港で大規模な政治的問題が起こってしまいその影響は計り知れない。しかし投資家はくれぐれも主権・政治リスク(Sovereign or Political Risk)を過小評価しないようにすべきであろう。
経済面から見てみると株式市場はともかく香港の上半期の景気はやや低下、小売市場の伸び悩みが続くなかで下半期に景気が好転する可能性はまだ観察がいるであろう。
中国本土経済の安定した回復が、香港経済のサポートするものと見られるものの、中国本土は全力で改革を深めているため、中国本土経済の先行きには今なお痛みを伴う下落リスクが存在する。
このほか、米国は10月にも量的緩和のプログラムが終了となり、その後市場は米利上げ懸念を材料にする可能性がある。現在、香港の不動産価格は極めて高い水準となっており、利上げが不動産価格抑制の影響を軽視することはできない。
香港株式市場が第3のブルマーケット・強気相場のチャンスが果たして来ているかどうかは問わず、投資で最も重要なのは、上下とわずトレンドの波に上手く乗ることである。
今後も「滬港通」を市場が大きく好材料視するのであれば、一般投資家も投機的な動きをしても差し支えないだろう。しかし相反して、リスク要因に市場が注目しだすときには、市場撤退の戦略も軽んじることなかれです。