貿易黒字の増加で高まる人民元切り上げ圧力
中国7月対外輸出は前年比14.5%増と急成長し、市場予想の7.5%増を遥かに上回った。
しかし、輸入は1.6%減となり、市場予想を下回っている。輸出の拡大は周辺国経済の回復が続いていることが反映されており、輸入総額の減少は中国の対外需要がないことを表している。
過去数カ月、米・非農業部門雇用者数の増加は、月あたり20万人を上回っており、現地の労働市場の好転が継続し、米国が牽引し中国本土の輸出はこの先数カ月拡大を維持できる見通しだ。
最近では欧米とロシアの制裁の応酬が激しくなってきており関係が悪化するにつれ、冷戦時代の日本のように、ロシアおよび西側諸国は中国を中立国として選択してき中国産を輸入する可能性があるため、今後の中国本土の輸出セクターを下支えると見られる。
人民元切り上げ圧力必至
輸入面では、資本過剰経済の過剰在庫による制限を受けるため、この先数カ月の輸入指標で顕著な回復が見られることも無いだろう。
中国本土で原材料が過剰在庫として問題となっており、経済成長の近年のペースダウンが償却を先送りさせている。過剰を改善させる前に、中国は基本的に外国から大量に原材料を輸入するべきでは無いだろう。
在庫要因のほか、中国では政治の汚職撲滅のため厳しい取締りを実施しており、改革を進めるなかで癒着体質のある企業の景気変動などが発生し、こうした要因も外国からの輸入に影響を及ぼすであろう。
この先数カ月に「強い輸出、弱い輸入」の貿易セクター見られ、「人民元切り上げでは、巨大な貿易黒字を維持すると」の圧力が高まるのは必然となる。
7月のインフレ率は6月と同様の2.3%
インフレに関して、中国7月のインフレ率は6月と同じく2.3%なり、過去数カ月、中国本土は洪水や台風などの自然災害にみまわれておらず、仮に、現状を維持できれば、国内食品価格の安定維持が見込めるため、インフレ率全体に好影響を与えると見られる。
インフレ圧力が強まらない間に、中国人民銀行(中央銀行)による更なる金融緩和や、ひいては預金準備金率の引き下げを期待する声もある。
李克強首相は一貫して「時宜を得た穏やかな循環的微調整」による経済コントロールを強調しているため、たとえ国内にインフレ問題が再発しようと、人民銀行が全面的に預金準備金率を引き下げる可能性は低いだろう。