米金利先行きが不透明
市場の予想通り、米FRBは債券購入の規模を更に縮小。縮小規模は毎月100億ドルとなっており、このペースを維持すると債券購入プログラムは10月で終了となる。FOMC(連邦公開市場委員会)後の会見において、FRBは債券購入の終了と政策金利の利上げは同時では無いと改めて表明しており、依然として利上げの行方は今後の景気がどのように推移するかが影響するだろう。今回の会見で採択された方針は前回と大差なく、金利政策においてFRBが過去数カ月間の立場を保持していることが反映されている。議会後の会見内容やイエレンFRB議長の発言によると、FRBは雇用改善および継続的な経済成長の確保を重要な位置付けとしており、現時点で利引上げ時期の決定は最重要視していない。現在の市場予想では、FRBによる利上げは来年中となる見通しだ。
米国債の金利動向
米GDPは1-3月期のGDPは年率換算で前期比2.1%減少したが、4-6月期は4.0%増加となった。総じて上半期の増加幅は2%足らずとなり、米国の経済回復に力強さを感じる事はできないといえよう。この先の米国経済を予測する場合、米国債金利からある程度の手がかりを得られよう。現在の米国債金利は短期は上昇し、長期債で下落となっている。こうした短期・長期で相反する金利の動きは、米国経済の先行きが不透明であることを示している。短期国債金利が上昇すれば、市場が米国経済の短期見通しを良好と見なしているため、政策金利の利上げ時期が早まる可能性がある。しかし長期債金利の下落は、市場が長期見通しを懸念している事が示されているため、現在の回復ペースが継続できるとは限らないだろう。
政策金利変更の時期の発表は
ある分析によると、米国の政策金利引上げは、銀行セクターから1兆米ドル近くの預金流出を誘発すると見られている。こういった災難の発生を回避するべく、FRBが利上げに踏み切る前に、米国の規制当局及び銀行は事前に措置を講じて利上げ後の大量の預金流失を防ぐ必要があるだろう。一般的に、FRBは金融政策の大きな変更をする際には、事前にリークする習慣があるため10月以降のFOMC声明において利上げ時期についてより多くの詳細が発表されると見られる。