香港株下半期は慎重な見方
2014年もはやくも半分が過ぎようとしており過去5カ月あまりを振り返ってみると、香港株はほぼ横ばいでハンセン指数は大体21,000~23,000の間を推移している。株式市場では、もともと有望銘柄であったIT関連やカジノ関連銘柄が投資家から切捨てられ、弱含みが続いていた本土銀行銘柄や従来型産業銘柄に明らかな反発が見られる。下半期を間近に控え、香港株式市場の下半期の動きを予測してみよう。
香港株値動きの要素の中で、最も焦点となるのはやはり中国要因であろう。直近の中国政府は頻繁に政策の微調整を行い、中国経済が直面する問題の緩和を図っているが、その効果が現れるまでは経過観察が必要だ。もし今後の指標でも中国経済の下振れリスクが示される場合、中国・香港の株式市場がこの先突出したパフォーマンスを見せる可能性は低い。しかし、これは決して両エリアの株式市場が暴落する可能性を表しているわけではない。なぜなら中国本土で景気低迷が継続するときには、しばしば中国政府がより多くの経済安定化措置を打ち出す観測が市場に広がるため、この期待感が株式市場にサポートをもたらす可能性があるのだ。
中国のほか、香港株にとっては米国の要因も重要となる。予定通り、米FRB(連邦準備理事会)による資産購入プログラムは第4四半期に終了となるが、終了後は米国がいつ利上げに踏み切るかが市場の新たな焦点となろう。米労働市場では明らかな回復が続いており、非農業部門の就業者数は4カ月連続で20万人以上の増加となった。現状維持となれば、FRBが来年の第2四半期に利上げを行うであろう。米利上げ時期が明確となれば、香港の株式市場および世界の株式市場では、米利上げ懸念による調整基調となる可能性が浮上してくる。 最後に香港の要因だが、小売市場の減速が香港経済を押し下げており、失業率が上昇に転じると見られる。このほか、政治的紛争からくる社会的混乱も香港の株式投資に不確定要因を添えている。直近の様子では、中国本土と香港の人々との対立はますます激しさを増しており、悲観的情緒が株式市場を押し下げる可能性もある。 以上の要因は大部分が予測性に欠けるため、香港の株式市場は下半期も引き続き「見歩行歩(その都度判断を見直す)」といった慎重な動きになると予想。