オンライン金融商品
オンライン金融商品の業界は、政府規制下にある銀行業界を差し置いて、IT企業特有のイノベーション精神を発揮し、実に豊富なオンライン金融サービスを生み出してきました。
宜信(Credit Ease)の小額ローンをはじめ、余額宝(YU EBAO)等の部分的に特化した資産管理サービスや、ひいてはバーチャルクレジットカードサービス(すでに中央銀行より中断命令が出されています)も登場しました。
これらの商品及びサービスの提供が、オンライン金融取引の生態系を大いに豊かにし、顧客に優れた利便性をもたらしました。しかし、規制不足があだとなり、オンライン金融商品は現在より大きなリスクに直面しています。 信用情報を共有していない為、銀行から借入れができない信用不良者が依然としてP2P金融(ソーシャルファイナンス)を経由してローンを組める状況にあり、すでにいくつものP2P金融サービス企業が不良債券問題によって倒産しています。
オンライン金融商品はパイオニア兼イノベーションサポーターに
オンライン金融商品に対する規制不足が様々な問題を引き起こしていますが、オンライン金融商品が比較的自由にイノベーションを進められているからこそ、中国のオンライン金融業界に活発な成長をもたらし、同時に中国の経済成長をある程度刺激できていると言えます。 中国最大級のショッピングモールである淘宝(タオバオ)や天猫(TMALL)の11月11日(双十一/中国の祝日で独身者の日)の売上高を例に挙げますと、この一日だけで350億人民元(ソース:アリババ)に達しています。 宝宝軍団は、その絶大な集客力で大量の銀行預金の資金を吸収しましたが、このビジネスモデルが安全な速成法であることが証明される事となり、従来型銀行業界も同様のビジネスモデルに足を踏み入れるようになりました。各々の銀行が宝宝軍団に対抗するべく、次から次へと独自の通貨ファンドを打ち出しています。とある銀行の商品に至っては、顧客の消費行動や預金引き出しの際に不足があった場合、自動的にファンドの償還を行える物も登場しており、今後、各銀行が類似サービスを開始する可能性も大いに有ると見られます。 このため、筆者はオンライン金融商品の将来性が無いとは決して考えていません。
オンライン金融商品はこの先も絶えずイノベーションを続け、関連業界は収益を生み出せるでしょう。 そして、従来型銀行業界は深刻なダメージを受けること無く、検証されたイノベーションの実現可能性に追随すると見られ、従来型銀行業界も同様に立ち後れてしまう可能性は低いでしょう。 詰まる所、両者は常に密接な関係にあるため、政策規制とイノベーションの両面でバランスを保ちつつあると言えます。