方向性のない香港株
最近、香港の株式市場は出来高不振で方向性を欠いている。4月はすでに過去のものとなり、再び「五窮六絶*」となるか否かが投資家達の焦点となっている。
* 「五窮六絶七翻身」というもともと香港の株式市場における相場格言。5月に下がり始め、6月も続落し、7月にようやく底打ち回復すると言われている。
この「五窮六絶」だが、筆者はあまり信じていない。そもそも株式市場のパフォーマンスに影響を与える材料が5・6月に出尽くす事は有り得ないため、5・6月の香港株のパフォーマンスは、あくまでこの先どのような材料が出てくるかによって左右されると言えよう。
最近の香港株が方向性を欠いている要因の一つに、投資家達が米国株及びA株の先行きに見通しが立てられていない点が挙げられる。米国株では、少し前の調整期を経た後、三大指数がすでに大部分のマイナスを回復しており、今後米国株が最高値を更新できるか否かで投資家の見解が分かれている。A株においては、中国経済見通しが重石となっており、上海総合指数は2,000~2,100ポイントの間で横ばいが続いている。米国株もA株も突破力不足であることから、香港の株式市場は慎重な雰囲気となっており、ハンセン指数は23,000ポイント以上で明らかな抵抗が見られる。香港株が現在の市況から脱するには、米・中の株式市場の今後のパフォーマンスが非常に重要となろう。 上述のほか、香港の株式市場の先行きを左右する要因として、中国本土の経済状態もまた重要である。中国本土経済が減速している事実は否定できず、減速の流れがさらに加速するか否かに市場の注目が集まっている。もし加速が進めば、中国・香港の株式市場は否応なしにダメージを受けてしまう。このほか、市場では中国政府が景気刺激策を打ち出すか否かについても関心を寄せており、刺激策が打ち出された場合、株式市場の投資雰囲気にとって刺激となろう。注意すべきは、5~9月の中国本土は債券及び金融商品が償還期限を迎えるピークとなるため、ひとたび債務不履行(デフォルト)が再び問題がなれば、株式市場が影響を受け大きく下落する恐れがある。
4年に1度のワールドカップが6月に開催となるが、ワールドカップ開催時の株式市場はやや商いが薄くなる傾向がある。米中の株式市場で上昇突破となるか、もしくは中国本土経済に関する好材料が出なければ、ワールドカップ開催の影響を受ける中で、たとえ「五窮六絶」が見られなくとも、香港の株式市場は低迷局面となる可能性が高い。