株式市場を襲う悪材料
月末から3月初めにかけての動きを経て、中国の株式市場は次第に安定を取り戻したかのように見えましたが、3月第2週に入り突如大きな変動に見舞われた
3月10日の上海総合指数は2.86%の大幅下落となり、2,000ポイントの重要なサポートラインを割り込んで今年の最低水準に接近。今回市場に影響を与えた原因をみてみると、ここ最近の多くの要因が重なった事が原因であると考えられる。当該期間の材料を振り返ってみますと、中国政府の議会開催以外、ほぼ全てが悪材料であったため、度重なるダメージを免れることは必然的に難しかっただろう。
先週、中国の太陽光パネル大手の超日太陽(Chaori Solar)は社債の利払いが不可能となっている事を明らかにした。これで中国で初のデフォルト(債券の焦げ付け)が発生した事となり、長年に渡り地方政府がサポートしてきた「剛性兌付」(損失補填)がついに崩壊した。このデフォルト問題は遅かれ早かれ債券市場にダメージを与えると予想されていた。同時に債券関連のファンド市場へも波及し、将来的に更に多くの企業がデフォルトに陥り、償還が目減りする可能性が懸念されている。
信用リスクに対する懸念が蔓延し、最終的に他の市場や、大口商品にまで広がっている。銅の投げ売りから銅相場では大暴落が起こり、3月7日に銅価格の一日の下落幅は4.2%下落し、過去2年で最大となった。
経済指標を見ると最近発表されたデータによれば、2月の中国は輸入がやや増加しているものの、輸出では前年同月比で大幅に18%減となっています。政府は減少の要因を春節などによるものだと説明し、また昨年の高めのデータが影響している。しかし、これらの要因のほか、1月の輸出データの増加にも水増しの疑いがある。
中国では年明けからすでに輸出の業績に弱含みが見られており、外需の減退は確実で、これを受けて今期のGDPに大きく影響をもたらすだろう。そのほかのデータでは2月の中国CPIは2%へ反落、昨年11月からの続落となっており、今のところインフレの圧力からは脱していますが、低いインフレ率は全体的な経済活況の減速を表しているとも言える。
国際問題では、ウクライナ問題が今なお未解決となっており、有事が勃発する可能性は低いものの、緊迫する国際情勢もまた市場におけるリスク回避の情緒を高めている。
中国とロシアは同盟国で、ウクライナにおいて多くの協力と投資を行ってきたため、政情不安は必然的に両国の経済利益に損失を与える可能性が出てくる。
ここアジアに目を戻すと、つい先日発生したマレーシア航空機の消息不明事件も解決に至っておらず、依然不明機の捜索が続く中、テロ攻撃である可能性も排除できない。こういった国際問題が市場に影響を与えており、次々と出てくる悪材料に、投資家の不安心理が更に煽られている。
中国には「物極必反」(極点に達すると逆の方向へ転化する)と言うことわざがあり、悪材料がほぼ出尽くした後の最も苦しい時期はすでに過ぎ去り、今後は反発の可能性が高まると見られ今回の市場の下落は、底値買いの好機である可能性がある。