フィンテックに規制
続々と金融商品のデフォルト問題について中国本土のニュースが伝えられており、商品自体のリスクの高さや、商品に潜在するリスクを購入者がしっかり理解していなかった事が現している。事実上、筆者の見解では、金融商品を選択して購入する人々のほとんどが提供されるROIにばかり気をとられ、商品がどのように運営されるのか、そして背後にどのようなリスクがあるのか、大部分の人々が理解できていない。しかし「リターンだけを見て、リスクを見ない」のは非常に危険な事だ。金融危機を引き起こした08年リーマンショックにおいても、当時、投資家達が見落とした投資リスクが関連していたのだ。
理財商品が相次ぐ「破綻」となってしまことに関心が集まる中、金融(Finance)と技術(Technology)を組み合わせされたオンラインでの金融商品の流通が中国本土で急速に広がっている。あるインターネット通信企業では年7%近くのリターンを掲げて、投資家の注目を集め3分で売り切れた。このことから、市場のハイリターン商品に対する極めて切実な需要が見て取れる。銀行預金(Bank Deposits)に預けることを考えれば、少しでも利回りの良いオンライン上の金融商品は確かに魅力的ではある。しかし、投資家達に「なぜインターネット通信事業者が提供するリターンが銀行の定期預金の利回りを上回ることができるのか?」と問うてみたい。
インターネット通信事業者が提供するリターンと、銀行の定期預金の利回りとの違いは、リスクに対する差分であり、リターンが高い商品ほど当然トレードオフでリスクがより高まることを意味している。結局、インターネット通信企業が財務不安となるのか、もしくは金融派生商品(Financial derivative)の利用で定期預金を上回るリターンを作り出すつもりなのか、こういった金融商品への投資は高いデフォルトリスクが介在していることになるのだ。 オンライン金融商品の取引増加スピードはすでに大きな勢いとなっている。健全かつ一定の秩序を保って市場を発展させるべく、政府は規制強化を進めるに違いない。積極的にオンラインでの金融ビジネスを開拓しているインターネット通信事業者にとって、当該規制はメリットにもデメリットにもなる。政府による規制によって、まずは大きな保障を受けられるようになるだろう。それに伴い、投資家の信頼感が増す状況になれば、オンラインでの金融商品販売は更に容易になろう。当然、政府の規制強化によってインターネット通信事業者ではランニングコストが増加し、支出が金融商品から得られる利益を圧迫する可能性がある。いずれにせよ、規制対応がしっかりなされることが非常に重要となる。