経済減速で中国不動産に危機
2014年、中国の製造業PMIは下落を続けている。
中でもHSBC発表による製造業PMIは更に下落し50を下回っており、製造業全体が減速の局面に入っている。更に懸念されるのは、中国経済の大黒柱である不動産市場においても危機のシグナルが現れ始めている事である。最近では、中国本土及び香港の両エリアでマンション価格の下落が見られている。香港SHKP(サンフンカイ・プロパティ)では価格の下落が40%に達したマンションがあるとし、中国本土では杭州や常州などの都市で、値引きによるマンションの販売促進が始まっている。更に銀行業界では、各大手銀行が住宅ローンを一時停止する可能性を伝えるニュースが見られ、もし事実であれば、不動産市場に非常に大きなインパクトをもたらす可能性が高いと言える。しばらくの間“市場崩壊”や“バブルが弾ける”といったフレーズが頻出し、市場の人々の心を脅かすだろう。
中国政府の統計データによると、中国では1月に70の大型・中型都市において、新築商品住宅の販売価格平均が前月比0.49%増へ下がり、昨年12月の0.51%増からやや反落となっている。住宅価格が前月比増の都市の数量で見ても、昨年12月に比べやや減少しており、「一線都市」と呼ばれる北京や上海、広州、深センなどでも値上がり幅が縮小している。全体的に、これから一年の中国の住宅価格上昇のトレンドにはすでに弱含みが見られ始めており、値上がりが主旋律では依然としてあるものの、上昇幅は狭まりつつある。規制強化の下と経済環境の影響を受ける中、過熱していた不動産市場は確実に温度が下がり始めている。
2013年の新興国市場からの資金流出は中国にさほど大きな影響を及ぼす事はありませんでしたが、今年は状況に変化が生まれ始めている。ここ最近人民元は対ドルの為替レートが続落しており、一週間で0.8%減もの大幅下落となり、国際資金が中国から流出しつつある兆候が見られている。資金の流出は中国の不動産市場にとって非常に大きな脅威となり、大量の国際資金の支持を失えば、あっという間に不動産バブルは非常に脆いものへと変化してしまう。加えて、中央銀行は確実に金融引締め政策を推し進め、今年のこの状況を更に深刻化させるだろう。
2月24日に中国の株式市場は1.75%も暴落し、不動産市場の様々なマイナス材料が市場にパニックをもたらし始めていると見られ、2月初めからの反発は早々に終了したと宣告せざるをえない。否定できない事に、中国の不動産市場はすでに危機に面している。
しかし市場が崩壊する事態に至るのは、少なくとも今ではない。その理由は非常にシンプルで、中国経済が減速トレンドにある状況で、不動産市場の崩壊がもたらす影響の恐ろしさは容易に想像できるため、こういった事態の発生を防ぐべく、今後も政府が多くの対策を打ち出す可能性がある。そして、中国経済には、安定的な不動産市場の維持に努めることが不可欠である。中国政府の両会(全国政治協商会議と全国人民代表大会)は間もなく開催となりますが、不動産関連問題は避けられないテーマとなり将来的に住宅価格が上昇するのか、はたまた下落となるか、今回の会議で何らかの答えが提供されるはずである。