安定成長する中国経済
中国国家統計局の最新発表によりますと、2013年の年間国内総生産(GDP)は56兆8845億元(1人民元約17円)の前年比7.7%増となり、2012年の水準を維持。2013年初に制定された年間目標7.5%成長を上回り順調に推移していることから、中国経済は鈍化を続けることなく安定成長していると言える。
投資は依然に政府主導 農業は後押しが必要
しかし注意すべきは、7.7%という成長率がここ14年の最小の成長率であるという点。人口13億人に十分な雇用機会を提供するには、より高く経済を成長させることが不可欠となる。経済の構造改革を推し進めている中国にとって、このように高い成長率を維持することは決して容易なことではない。新政権が構造改革に踏み切り、投資主導の経済から消費主導への転換を掲げているが、政府の一存でGDPに含まれる投資割合を調整できるため、消費面でこそ全体的な構造改革が必要となる。こういった構造改革は必然的に非常に時間がかかるだろう。GDPに対する貢献度で見ると、2013年の消費の貢献度は50%と2012年のデータを下回っている。経済成長を維持するべく、投資主導がすぐさま変化を迎える可能性は明らかに低いだろう。
産業面では、第一次産業が4%増、第二次産業が7.8%増、第三次産業が8.3%増となっている。農業の成長率はやや鈍化し、新たに発表されたばかりの2014年「中央1号文書」では“飯茶碗をしっかり自分の手で持つべき(把飯碗牢牢端在自己手中)”と提起され、食品安全問題が強調されている。農産物輸出大国への健全的な発展が中国経済にとって重要な位置づけにあることが見て取れる。都市化が進み、多くの農民が都市へ移り農業への従事を諦める状況では、農業の生産現場に深刻な問題をもたらすことは確実で、どのように農業の自動化を図り、地方都市でも雇用を生み出すのかがこの先の重要な課題となる。
相反する株式市場
2014年が明けて以降、中国の株式市場は下落傾向が続いている。GDPデータの発表日に、上海総合指数(SSE Composite Index)は2,000ポイントのサポートを割り込み、半年ぶりの低水準に近づいたことを受けて、市場に衝撃を与えた。GDPが高くないことが指数の下落を引き起こしたとみなしている投資家も存在しているが、事実はそうではなく、2013年の経済成長率は目標を達しただけでなく予想も上回ったため、7.7%増という数値は投資家らを満足させたと言えます。世界第2位の経済大国として、中国の経済成長の速度は、ほかの先進国や、ひいては多くの発展途上国よりも遥かに早かった事から、間違いなく多くの投資家の心を鼓舞した。しかし、株式市場の場では経済成長データがもたらすサポートを全く得られず、下落傾向が続いている。この現象をもたらしている事実上の要因は、長期間、株式市場において流動性が悪化したことにある。
年明けから、銀行の資金不足に加えて大量のIPOが株式市場の資金ひっぱくを招いた。株式市場の資金が十分になってこそ、ようやく株式市場が活性化するので長期的に見て、経済が安定成長するに従い、個人投資家の収入が増加し、より多くの資金が株式市場へ投資されるはずだ。