投資資金の行方
次期FRB議長に指名されたイエレン氏が公聴会に出席し、FRBがすぐさま緩和策を縮小しないと明確に示した。失業率が7.3%と依然高水準である事や、インフレ率も当局の目標を達成できていない事が理由とされ、経済の実際のパフォーマンス如何によって緩和策縮小のタイミングが決まるとしている。
公聴会で、イエレン氏は明瞭な言葉を用いて金融政策の方向性を説明しており、曖昧な言葉を用いるバーナンキ氏と比較して、明らかにイエレン氏の表現は分かり易い。投資を行う上で最も懸念されるのは不明確な要素に直面する事だ。イエレン氏の言葉は、緩和策縮小懸念が生み出す様々な憶測を減らすことに成功させることで、市場から不必要な負の影を払拭する効果がある。イエレン氏が次期FRB議長に就任する事に、投資家らは少なからず安心感を抱いていることであろう。
今年はじめから今まで、米国株は上昇を続け、ダウ指数及びスタンダード&プアーズ500指数は頻繁に最高値を更新している一方、中国・香港の株式市場のパフォーマンスは大きく立ち後れている。中国の経済成長速度は米国より遥かに大きいにも関わらず、なぜ米国株のパフォーマンスの方が優れているのだろうか?
米国株好調の理由として、投資家達が中国よりも米国の先行きが好調になると見なしている点が鍵となる。中国経済は構造改革がもたらす難題に直面しており、改革が最終的に成功を勝ち取れるかは未知数である。相反して、米国の経済回復は緩やかであるものの、すでにリーマンショック後のトラフを脱している。両方の地域を比較すれば、アメリカの将来性は自然と中国よりも明るく見えてくる。前述した通り、最も懸念されるのは不明確な要素に直面する事であることから、米国が中国より明確であると言える以上、今後も資金が米国株をサポートする流れは当然と言えよう。
三中全会(中国共産党第18期中央委員会第3回全体会議)では中国構造改革の方向性が更に明確化されたが、どの程度の成果となるか不明な上、改革の効果が出てくるまで数年かかる事から、米国株は今後も中国・香港両地の株式市場より好調となる可能性が非常に大きい。つまり、中国構造改革に理想的な効果が現れるまでは、「短期資金」のみ中国・香港の株式市場へ流入を見込めるが、「長期資金」は主に米国市場に留まるだろう。