中国の構造改革は多難
三中全会(第3回中央委員会全体会議)が閉幕し、政府系報道によると、経済発展のための構造改革強化が焦点になったと見られる。
三中全会によるサプライズが無かった事を受け、中国及び香港の株式市場は三中全会後に下落傾向が見られた。三中全会がサプライズ不足だったとはいえ、市場からいくつかの焦点は多くの関心を集めている。中国政府は「市場の価格決定メカニズムを重視して改善する」とし、この議題には中国経済の更なる市場化への意気込みを示している。つまり、中国政府が経済発展における役割を変化させる可能性を持たせているのである。
かねてから経済発展を多種多様な政策で経済目標の実現を図り、政府は主導的役割を果たしてきた。支援政策の下で多くの業界が急速に成長したものの、日増しに政策への依存度が高まり、業界の構造問題もまた日増しに深刻化している。経済を更に発展させるには、この先中国は確実に各々の構造問題をしっかりと整備し直さなければならない。構造問題を解決する上で有効な方法の一つは、市場の自律性を持たせることである。すなわち自然淘汰させることで、不採算企業を振るいにかけ市場から撤退させるのだ。市場自身に調節させるといっても、政府が何もせずただ傍観するという事ではなく、将来的に補佐役を担うはずだ。例えば解雇労働者の就業支援等、中国政府は構造問題解決にあたり発生する各種問題に対応していくだろう。 民間資本による国有企業への投資についても三中全会のもう一つの焦点となった。
統計によると、国有企業の総資産は44.8兆元にも達しているが、国内の最大民間企業でさえ総資産はたった1,500億元にとどまる。両者のギャップはあまりにも大きく、国有企業に投資できる財力を持った民間企業は明らかに多くない。「国退民進」(国有企業が退き、民間企業が発展する)を実現するべく、国有企業はこの先海外市場の開拓に目を向け、国に代わり大きな資産購入の任務を担う可能性がある。そうなれば、国内市場における多くのチャンスを民間企業に開かれるであろう。
改革全体の方向性が発表され、今後の焦点は如何に実行していくかとなる。しかし様々な既得権益団体とからみ、中国構造改革の前途は実に多難だ。