注目銘柄が株式市場を左右する
中国中央銀行(人民銀行)がついに買いオペを実施し市場への資金供給に踏み切った。しかし中国本土及び香港の株式市場ではまだ十分に活性化されておらず、中国国内の銀行にやや上昇が見られる以外、マーケットの雰囲気は慎重だ。
これは恐らく香港の優良セクターと中国本土の新興企業向け株式市場の創業板(ベンチャー・ボード)銘柄の急落が関連しているためだと見られる。中国本土では、連月気勢盛んなIT関連及びカジノ関連株に気落ちの兆しが現れており、関連銘柄がすでに重要なサポート水準を下回っている。このためもし短期間で回復が見られなかった場合、上述の強含みと見られていた2大セクターが調整ポジションに入る可能性が非常に高い。事実上、IT関連及びカジノ関連銘柄の評価はすでに高すぎる水準となっており、好材料が基本的にすでに反映しており、相場に比較的大きな調整が発生してもおかしくない状況だ。
強含みだった銘柄に一度目の急落が現れた場合、小口投資家達は常々買い意欲が高まるまで堪える事ができない。彼らの早急に押し目買いしたいという心理状態は、大口投資家に資金撤退の好機を提供してしまう。売却の動きを経た後は、大口投資家が銘柄の質を更に低くさせ、その結果小口投資家の資金が塩漬け状態に陥ってしまう。
言い換えると、IT関連及びカジノ関連銘柄を有望視する小口投資家は、エントリーする前にまずトレンドを十分に見極めた方が良い。ひとたび大量の小口投資家の資金が巻き上げられてしまえば、香港の株式市場の先行きは有望視し難い。
中国本土では、創業板(ベンチャー・ボード)銘柄が過大評価となり投売りが起き、創業板のバブル神話崩壊を示している。創業板の転売率を見ると、転売の風潮は確実に加熱しており、遅かれ早かれ調整ポジションに入ると見られる。過大評価によって調整が触発される事に加えて、IPOの再開により資金が流出する可能性もまた創業板の暴落を招く要因になるのではと懸念されている。
今年に入ってから、中国本土は長期間停止しているIPOの再開を何度も伝えている。事実上、更改を待つ企業はますます多くなっており、IPOが再開するのは時間の問題だ。ひとたびIPOが再開すれば、創業板だけでなく、メインボードの株式市場も取引量が減少する可能性が高まる。中国本土の株式市場にとって、IPOの再開は「魔の咒い」を髣髴とさせる。「魔の咒い」の影響を受け、中国本土の株式市場の上昇幅は制限を受けるだろう。