インドとインドネシア資本逃避
米FRBが9月から債券購入規模を縮小する可能性や、米国がシリア空爆を行う可能性が高まり、新興国市場から資本逃避が見られることなど、多くの不確定要因の影響を受け世界の金融市場で懸念が高まっている。
これらの要因の中で、新興国市場からの資本逃避だけが世界経済にとって最も現実的な要因となり、資金流出はすでに関連国経済に打撃を与えている。
新興国市場から資本が逃避する原因は大きく2つある。第一に、米国の量的緩和策撤退への懸念、そして第二に、新興国経済の無策である。米国の緩和策撤退の可能性に直面しつつも、米FRBのいかなる決定にも影響力が無い新興国にとって、残された道は多くないという意味である。景気が下降した際、当然政府と中央銀行は財政緩和と量的緩和策を推進し経済刺激を行うべきではある。しかし、資本逃避が進むにつれ、新興国の財政能力は多少なりとも弱体化が進んでおり、これを受け、今後政府が量的緩和の政策実施への柔軟性が制限される可能性がある。
このほか、自国通貨の下落に直面した中央銀行が政策金利の引上げで為替相場に介入することが多いが、この動きは景気にマイナス影響をもたらすこともあり、中央銀行が金融緩和策で景気刺激の原則と相反するものなのだ。
インドネシアは資本逃避が起きている国の一つだ。現地中央銀行は先日政策金利の引上げを発表し、市場におけるルピアの信頼を回復したい意図がある。政策金利の引上げ後、経済成長速度の減速への懸念から、インドネシアからの資本逃避は一層加速する可能性があり、投資家は政策金利引上げの逆効果に注意が必要だ。
そして、インドはもう一つの被災地区だが、この難局を打開するのは非常に難しくなっている。インド政府の朝令暮改な政策を、外資はすっかり信じなくなっており、その信頼を失うにつれて、インド経済が今の情況に陥ってしまったことは簡単に予想できたはずだ。
インドの株式市場が近年不調であることから、インドの将来性に対する投資家の冷ややかな見解を示している。重要な外資からの信頼を再び取り戻すこと、決して一朝一夕でなし遂げられる事ではないため、今後インドの株式市場及び通貨価値が更に下落トレンドとなる可能性が極めて高い。