米FRB議長の後任が焦点に
最新の議会後の声明でも米FRBは金融緩和政策撤退の時期をまだ明確にしておらず、バーナンキFRB議長が再び市場を混乱させまいというふしがある。以前にバーナンキ議長による政策撤退関連の発言が市場の懸念を引き起こし世界の金融市場に大激震をもたらした経緯がある。混乱の再発を避けることに加え、バーナンキ議長本人も来年1月に任期満了となるため、残りの任期中に政策撤退時期についてはより詳細な発言を避ける可能性が高い。
議会後の声明で明確な政策撤退時期の発言が無かったものの、そこから政策撤退予定の情報が全く読み取れないわけではない。議会後の声明において、米FRBはインフレ率が中期で2%増の正常な水準へ回復すると予測している。
米FRBが中期でインフレ率が正常な水準に回復すると見なしているからには、量的緩和策もまたその期間内に正常な状態に戻すべきとなり、今現在超量的緩和となっている通貨政策の環境は終結となる。しかし、米FRBが示す中期とはどの程度の期間なのかについて、市場が正確に把握するのはまだ難しい。
5・6月の期間と比較して金融緩和政策撤退への懸念は薄らいでおり、誰がバーナンキ議長の後任となるのかが次第に市場の焦点となってきた。現在のところ次期FRB議長として有力視されている候補者は、副議長のイエレン氏と元財務長官のサマーズ氏の2名だ。イエレン氏は米国が量的緩和政策で景気を刺激すると主張しており、政策の方向性はバーナンキ氏と近い。このためもしイエレン氏が後任となれば、量的緩和策は比較的長期間継続する見込みがあり、市場にとって好材料となるはずだ。
かたやサマーズ氏は、通貨の量寛緩和政策に反対であると表明しており、財政緩和政策(財政赤字縮小)で景気を刺激するべきと主張している。もしサマーズ氏が後任となれば、現在の極度な量的緩和政策は彼の就任後すぐさま改変となるだろう。
ある報道では、オバマ米大統領はサマーズ氏がバーナンキ氏の後任となることに関心を寄せているが、同時に後任にイエレン氏を支持する嘆願書に3分の1以上の民主党議員が署名しており、どちらに軍配が上がるのか結果を待つしかないと伝えている。
有力視される二人の候補者だが金融政策における方向性は異なっているため、2人の勝算に関連するニュースがこの先数カ月に渡り世界の金融市場を大いに揺るがす可能性がある。