経済成長の回復で貸付け需要を刺激
ここ数ヶ月の中国国内発表のデータによると、 中国経済の下降速度は予想より速く、現在の情勢が継続すれば、中央政府の年間7.5%とする経済成長率の目標実現は少し困難なようである。経済の下落傾向を阻止するため、中央政府は近い将来に多くの経済刺激措置を打ち出すだろう。措置の例としては省エネルギーの環境保護製品購入の補助金や、インフラストラクチャープロジェクトの審査加速などで、この先もより多くの経済刺激政策が登場する見通しだ。
中国本土のニュースでは温家宝首相が近いうちに「保八」(8%GDP成長率の確保)に再び言及するだろうと指摘しており、 これが事実であるなら、中央政府は精力的に経済強化を強く促すだろう。中央政府は強力に経済強化を促すだろうが、これは決して再び「4兆元規模の景気刺激方案」を持ち出すということではない。なぜならば上述の景気刺激政策はインフレ率の急上昇や、不動産市場のバブルなど、近年の経済に多くの後遺症をもたらしたためだ。そして、温家宝首相は繰り返し経済構造を調整する必要性を強調し、もし再び大量の資金を投じて経済強化を促進すれば、いつ構造問題の更なる悪化が起きてもおかしくない。その際には温家宝首相の考えは実現不能となるだけでなく、中国経済の将来は引き続き「放っては乱れ、乱れては収まり、収まっては行き詰まる」という堂々巡りの袋小路に陥ることとなる。
経済を刺激するには、金融緩和は一つの措置である。しかし内陸の貸付け需要は弱まっており、もし情況が改善しなければ、たとえ中央銀行が大幅に預金準備金率の引き下げを行っても、ひいては利下げを行うとしても、経済全体が恩恵を受けることは本当に困難である。言い換えれば、中央政府の目下の最重要課題は経済成長の回復促進であり、経済成長の回復なくして、貸付け需要の増加は望めない。その時になってようやく中央銀行の「放水」活動は半分の労力で倍の成果をあげられるであろう。
近日いくつかの国策により、家電株、インフラストラクチャープロジェクト株、鉄道関連の株などですでに株価高騰の効果がみられる。しかし中央政府が今なお全面的な経済刺激計画の公布に至っておらず、加えて市場全体の雰囲気は依然として弱く、このため投資家は慎重になり、国策によって恩恵を受ける株の株価上昇後に流れ戻って来るだろう。しかし、 国策支持があるため、関連株式の今後は市場の勢いよりも大きいはずだ。