米国の支配は続く
先週の記事では、米国が金融危機(Financial Tsunami)の洗礼を受けたと言った。しかし、米国は依然として世界経済で全局面を左右する著しい影響力を持った国家だ。
例えば米FRBによる量的緩和措置はすでに全世界の株式市場の下落を引き起こしてしまいた。Dow Jones I.A. in USのチャートを看ればわかるように、NYダウ指数は金融危機の後、2009年3月の低水準から2013年7月に至るまで、5年もたたないうちにすでに136%もの大幅な反発となっている。株式市場も継続して最高値を更新して、先進国の中でも数少ないパフォーマンスが見られた。
これは近年もてはやされた新興国市場と比べても好成績となっている。 一般的に実体経済よりも株式市場が先行する(景気がよい所では株式市場の動きが逆方向となることもある。中国のように) しかしどのような原因でNYダウ指数の大幅な反発が可能となったのだろうか?
リーマンショックが誘発した金融危機の後に米FRBがすぐさま量的緩和措置を実行したため、ほとんどの人は「紙幣増刷」を簡単なことだと考えているようだが、決してそうではない。
単純に紙幣増刷を行ってしまえば悪性インフレを引き起こしてしまうことを米国は知っている。絶えず紙幣増刷を行えば米ドルの通貨価値を大幅に下落させるばかりだということが最も重要な点である。
いかなる国家であっても、近年のジンバブエの通貨のように一文の値打ちもなくなり見捨てられることを楽観的に受けとれないだろう。それでも米FRBは市場に資金を供給するべく公開市場で国債を購入し、金融機関に融資金を供給し、銀行から資産などを購入している。
銀行の流動性が増加し、これによって長期金利を低く抑えられたことで銀行業界の流動性に余裕が生まれ、さらには現地不動産セクターの回復にとってプラスに働いた。
このほか、米国のNYダウ指数に含まれる企業で、例えばマクドナルド、コカ・コーラやマイクロソフトなどのグローバル企業では、全世界へサービスを展開していますので、景気の善し悪しによる影響をさほど受けない。これらのグローバル大企業の財務情況は健全で、業務が世界に分散しており、まさに資金の格好の避難場所と言われている。
こういった要因も米国株式市場の底からのすばやい反発を牽引してきました。近年はテクノロジー関連業界が産む営業利益が高速に増加させており、こちらも投資環境としてスポットライトが当てられている
US Fudnのチャートを見てみよう。JPモルガン(JPMorgan)やシュローダー(Schroder)、フランクリン(Franklin)、ブラックロック(BlackRock)米国関連ファンドの運用成績。パフォーマンスは確かに好調だが、微妙に違っているのは何故だろうか?
これはそれぞれのファンドの投資テーマが異なっており、加えて保有割合もそれぞれ異なるため、その結果に差がでてくるのだ。