長い目で経済の市場化
先日、人民日報は「証監会も中央銀行も乳母ではない」(証監会=中国証券監督管理委員会)というタイトルの評論記事を掲載した。
記事では政府による市場救済措置が株式市場に被害を及ぼしたことに言及しており、中央銀行による短期の振興策打ち出しに期待する投資家は間違いなく失望する内容となっている。以前から株式市場が暴落した際、投資家達は常々中央銀行による救済措置を頼りにしてきた。このような期待や依存が原因となって、投資家達がいつまでも未成熟であるのは、損失が出たのは市場救済を行わなかった政府の責任であるとクレームをつける投資家がまだ存在していることに反映されている。
投資家達には、自分の投資行為に責任を持たせ、政府が市場救済措置を行わないことを前提として知っていただくのが、正道である。
李克強が首相になった後、過去に何度も経済の市場化を進めるとし、中央政府が次第に経済への影響を減らすことを意味してきた。
中国人民銀行がいつまでも国内銀行への「放水」(金融緩和)を進めないことや、人民日報の「乳母ではない」論はまさに李克強首相の意向を表している。新指導部の発足以降、中央政府は確かにまだ大規模な金融政策を打ち出しておらず、市場がひたすら待ち望む都市化政策も今なお同じく「階段を上る足音が聞こえるだけ」の状態だ。
習近平国家主席、李克強首相体制のやり方は温家宝時代とは明らかに異なり、中国の長期的発展の観点から見れば、政府の関与が減り市場主導が少しずつ進むことは、決して悪い事ではない。
中国資本の株式への投資に関しては、投資家が銘柄を選択する際に、政府の支援策が有るか否かが往々にして第一の要素となってしまっているようだが、実際のところ、政府の支援策があったとしても株式が良くなるとは限らず、逆もまた然りだ。
過去数年、中央政府による個別セクターへの支援策の提供を、多くの投資家は株式買い入れのシグナルとみなし、十分な分析を行わずに株式を購入してしまい「散々」な目にあってきた。
太陽光発電の業界を例に挙げると、中央政府が業界企業へ補助金の提供を続けているにも関わらず、株式市場における近年のパフォーマンスは不振が続いていることから、補助金政策を好材料とみなして投資家が太陽光発電関連株で利益を得るのは決して容易ではないのだ。中央政府は経済を市場主導に移行することで、投資家が誤った情報へのアクセスを回避し、同時に各企業の自力を求めることにも役立ち、中央政府への依存度を軽減できるだろう。