緩和策撤退は資金流出を誘発
中国人民銀行頭取の周小川氏は、人民元を通貨安競争に誘導する可能性はないと公表。
中国経済にとって、安定的な人民元の為替水準は非常に重要で、貨幣価値の大幅な上昇、下落は国益に合致しない。
大幅な円安化は多くのアジア諸国における通貨安の追随を誘発してしまった。比較してみると、周辺国に反して人民元はますます上昇しており、対米ドルでは為替改革の後の最高値を更新している。
もし中国の経済成長速度に減速が見られたとしても、ずば抜けた成長幅はなおも世界を見下げる規模で、投機的資金はひたすら中国に流入し、この情況は短期間続くと見られる。
中国本土の国外貿易はすでに厳しい情勢となっており、人民元の継続的な価値上昇およびアジア内の通貨安戦争から同時に影響を受ける中、中国の輸出競争力はさらに悪化する可能性がある。
現在、中国本土経済は経済成長速度の減速と同時にホットマネー過剰流入の脅威にさらされている。ホットマネーの問題は中国政府と人民銀行による政策実施の自由度を大いに狭めており、中国株への投資リスクを増加させている。
ホットマネー問題の緩和もしくは解決が見られない限り、中国政府は量的緩和という金融政策によって経済を刺激するのは難しく、金融政策が十分ではない状況下で、中国本土経済は更なる下落リスクとなる恐れがある。
政策で主導権を握るためには、この先中国政府は中国本土企業や投資家が国外へ投資する際の制限を緩和するなどのマネー「排水」措置を講じる可能性があり、ホットマネーの中国流入を完全な阻止は、中国本土経済が結局のところ世界の成長速度よりも早いエリアであることが原因となり、決して容易なことではない。
しかし米国の量的緩和撤退の可能性が増加するに伴い、中国からの資金流出の引き金となる可能性がある。過去数週間、次第に多くの投資家が米国の緩和策撤退を確信しており、緩和策撤退予測の形成によって資金の流れる方向が変わり、米ドル上昇のトレンドが維持されると見られる。
もし緩和策撤退予測への懸念がこのまま高まれば、資金は中国から流出するだろう。中国の国益から考えれば、適量のホットマネー流出は、政府にとって多くの構造的問題の解決に都合が良いのだが、もしホットマネーが短期間で大量に流出してしまった場合、中国経済に大地震が起こる可能性が高まってしまう。