背後に潜むバブルリスク1
近日の日経株価指数は上昇し15,000ポイントの水準に近づいて5年来の最高値を更新しており、強気なトレンドは世界中の投資家から注目を集めている。
歴史を振り返ってみると、現在の日経株価指数は長期平均線を下回っており、1989年の“バブル経済”が崩壊する前の38,915ポイントからは程遠い水準となっている。それでは、現在は日本の株式購入の絶好の機会だろうか。
必ず投資決定を実行する前に、いくら儲けるかを真っ先に考えるのではなく、逆に最大限にリスク予測を行って理論上「安全域」なものだけが投資価値に相当すると判断している。
日本の株式市場がエントリーに絶好の機会かどうかを判断するには、わずかな議論で結論付けることはできず、様々な要因によって日本の株式が下落するリスクを考慮することがより重要だ。
昨年11月から、日銀は異次元の緩和政策を実施し、そして歴史的な低水準へ政策金利を引き下げた。その後、欧州中央銀行、インド中央銀行、オーストラリア中央銀行とポーランド中央銀行が追随し、さらに韓国中央銀行やベトナム中央銀行も金利引き下げに参戦となり、第三次世界貨幣戦争の勃発と称されいる。
クレディ・スイスの予測では、次に政策金利引き下げを行うのは台湾で、インドも年末前には再び政策金利を少なくとも0.5%ポイント引き下げると見ている。
中央銀行 | 現行利回り | 次回の議会開催日時(月/日/年) | 前回変更日時(月/日/年) |
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カナダ中央銀行 | 1% | 05/29/13 13:00 GMT | 09/08/10 13:00 GMT |
日本銀行 | 0.1% | 05/22/13 03:00 GMT | 12/19/08 05:27 GMT |
欧州中央銀行 | 0.5% | 06/06/13 11:45 GMT | 05/02/13 11:45 GMT |
オーストラリア準備銀行 | 2.75% | 06/04/13 04:30 GMT | 05/07/13 04:30 GMT |
スイス国立銀行 | 0% | 06/20/13 07:30 GMT | 08/03/11 07:00 GMT |
米国連邦準備銀行 | 0.25% | 06/19/13 18:00 GMT | 12/16/08 19:15 GMT |
イングランド銀行 | 0.5% | 06/06/13 11:00 GMT | 03/05/09 12:00 GMT |
理論上で政策金利の引き下げは確かに経済成長に有利だが、各国の悪性と評価できる過当競争は通貨価値の下落を招く。これは各国の貨幣価値の下落で輸出減速の回避を望むので、多くの国家で採用している。
特にアジアでは、実体経済は大きく2つの局面に陥っている。
新興市場のインドでは自国のインフレ水準が高いため、利下げは、簡単にインフレ圧力につながり、ダメージがインドの経済に内在することになる。 そして、各国の政策金利はすでに、限界水準にまで達しており、この先数年程度しか金利引き上げのルームは無いと見られ、理論上、株式市場や不動産市場にとってマイナスであると市場が一旦評価すると、株式市場や不動産市場の不安は多かれ少なかれ経済全体に影響する。
簡単に言うと、自国の経済にダメージを与えるとわかっていても、多くの国々がなすすべもなく政策金利を引き下げてしまっているのです。 歴史を振り返ると、過去に多くのバブル経済はすべて低金利政策が原因となっている。
90年代の日本「失われた10年、平成の世界大恐慌」や、08年頃の米国サブプライム危機に至るまで、そして今現在も各国が自国通貨の引き下げを争っている。
あらたなバブル危機のために伏線を張り巡らせているのだろうか?
近頃、日米の株式市場が大量の投機的資金を受けてここ数年の最高値更新を続けているが、投資家は喜びのあまり、背後に潜むバブルのリスクにくれぐれも注意が必要。また、1989年に新高値を更新した後に、10数年続く経済不況に陥ったことも決して忘れず、長期的に見て、株式市場はやはり実体経済の発展に準ずることを肝に銘じるべきだ。