FRBの債券買い入れ拡大
FRB(米連邦準備理事会)は現在の政策金利及び債券購入規模を維持すると発表した。
しかし、FOMC(米連邦公開市場委員会)の声明によると債券購入規模を拡大あるいは縮小する用意があることが初めて明らかになった。FRBが債券購入の減少を言及したものの、米国債を見る限り市場は量的緩和策の撤退をとくに憂慮していないと言える。
市場が金融緩和政策の終了を憂慮していない以上、FRBは債券購入規模を再び拡大する可能性が果たしてあるだろうか?
FRBは声明の中でワシントン政府の財政支出の削減が成長の抑制につながるとことを言及しており、この点からFRBは米国の先行きに懸念材料が潜み経済回復へ確信がないと見られる。加えて、米国が過去数週間に公表した経済指標は大方の予想よりも悪く、雇用統計、製造業PMI、先行指標、耐久品受注などを含め、米国の経済情勢が明るくない。
以上から推測するに、もし米国経済予想を下回るならば、ベン・バーナンキ氏が債券購入規模を拡大する可能性は否定できない。
米国経済の先行きがまだ明るくならないことに加え、中国の経済状況も懸念される。
そして少し前にHSBCが発表した製造業PMIが予想を下回り、政府発表の製造業PMIも50.6まで下落。まだ景気判断の分かれ目となる50を上回ってはいるものの、下落の流れは製造業の拡大ペースの足並みが減速し続けていることを反映している。
PMIのデータ発表元がHSBCであれ政府であれ、輸出注文書指数も同様に50を割り込んで衰退区域に陥っており、対外貿易の需要が弱まっていることは明らかだ。輸出及び製造業の弱まりが足かせとなり、今季の中国経済が更に減速する可能性が高まっている。
米国と比べ、中国情勢はいっそう懸念されている。米国はFRBが更なる量的緩和策で経済を支えることができるが、中国はすで融資規模の膨張問題を抱えており、加えて経済システムに投機的資金が溢れてしまっているため、経済刺激策の面では、中央政府も人民銀行もフロアが不足している状況だ。
中国経済に大量の構造的問題が内在しており、関連する問題は政府が政策を実施する際の実効性を妨げとなり、改革が実行できるか否かが中国経済成功のかなめとなる。