第2四半期も前高後低トレンド
第1四半期の香港株式市場は先に高く後に低いトレンドが現れ、トータルで見るとハンセン指数はその場で足踏みをしていただけと言える。
年明け時、ホットマネーの流入や世界経済回復牽引の期待感を受け、香港株式市場は徐々に上昇し、2月初めには24,000ポイント近くまで上昇した。しかしその後、中国政府の不動産市場規制強化、人民銀行による続けざまのリバースレポ取引、そして中国銀行業監督管理委員会による中国国内銀行の金融商品販売規制強化やキプロスの金融危機勃発など、実に多くの不利な材料が足かせとなって、香港株式市場は反落トレンドへ。第2四半期に入り、市場に影響を与える不確定要素が今なお数多く存在していることから、筆者は香港株式市場が今期も前高後低のトレンドとなる可能性が高いと見ている。
銀行の金融商品販売に対する中国政府の規制厳格化は、中国政府が融資の氾濫を大いに懸念していることを反映しており、人民銀行は今季更なる緊縮措置を行う可能性が高い。
このほか、新指導部の就任で汚職摘発が予想され、公務出費緊縮措置の実施は一定期間続くと予想される。金融か財政緊縮なのかに関わらず、すべて経済に圧力となり、A株もパフォーマンスが好転するのは難しい。そして、中国華東地区では鳥インフルエンザの感染者が現れており、感染情況が深刻化するか否かは依然として未知数だが、もし感染者数が引き続き増加した場合、中国経済は間違いなく打撃を受ける。
中国の周囲を見てみると、緊迫した日中関係が続き、南北朝鮮半島の情勢も絶えず悪化している。万一ミサイルが火を噴けば、中国経済は否応無しに影響を被る。このほか、円安はすでに日本の国策となっており、円安が続けば中国製品の競争力が失われる可能性がある。当然、衰弱した欧州経済も中国の輸出産業にとって圧力となり得る。
中国本土と香港は互いに密接な関係にある。中国本土の将来性が明るくない状況で、香港株式市場に過度な期待を寄せるのは現実にそぐわないのだ。近月、香港金融管理局による香港ドル注入のニュースを耳にすることはとうに無くなっている。これはホットマネーの更なる香港流入が無くなっているだけではなく、ひっそりと流出を始めている可能性すらあることを反映しているのだ。香港株式市場のパフォーマンスはひたすら資金流出が主導しており、当局の香港ドル再注入を耳にする前に、投資戦略は短期的として、積極的な売買を控えるべきだろう。