インフレ上方圧力
中国では春節のお正月が明け巳年を迎えらた。
新しい一年の始まりの際、中国の投資家たちは株式市場の春節初相場が「紅盤」(上昇相場)となるかどうかに大きな関心を寄せる。
春節明けの初相場が高値に寄付くのはもちろん喜ばしいが、「黒盤」(下落相場)になったとしてもとくに気落ちする必要はない。なぜならば、そもそも株式投資はたった一日二日だけのトレンドを見るべきではなく、ファンダメンタルズ(経済指標)が良好でさえあれば、市場の資金に余剰があるため、株式市場がたとえ上昇しなくても動じることはない。中国人民銀行は最新報告において、インフレに関する言い回しを以前の「インフレ予測の管理」から「インフレ抑制」へと変更してきている。
この言い回しから、中央政府がインフレ問題の再燃を懸念していると見られる。事実、中国本土は近月、インフレの反発傾向が現れている。
インフレ反発は恐らく天候など季節的な要因の影響を受けていると見られるが、全世界の資金が氾濫する中で、インフレ問題再燃の可能性を中央政府は過小評価するべきではないのである。 最近のニュースによると、融資の増加ペース加速を避けるため人民銀行は中国国内の各銀行に融資限度を通達。このうち中国銀行(03988)が通達をすでに受領したとの確認がとれている。
過大な規模の融資はインフレを誘発するおもな要因となってしまうことから、インフレ再燃を阻止するために、人民銀行は融資規模の過度な膨張を阻止する必要があるのだ。従来の融資のほか、簿外取引の融資問題も軽視できず、こういった面は、市場が銀行の不良債権へのリスク評価をより一層難しくさせてしまう。
昨年日本の大規模な無制限量的緩和を発端に日本円は急落し、新たな通貨戦争(Currency Wars)の火蓋が切って落とされた。アジアや欧州の各国の一部は日本の大幅な円安進行に対し不満を表しており、価格競争力を失い輸出産業に打撃を避けるため、自国経済優先の金融緩和として自国の通貨切り下げを実行、いつでも通貨戦争に参戦する構えだ。
通貨戦争勃発の可能性の有無はさておき、各国が無制限に紙幣の増刷を行うことは、世界のホットマネーはますます増加の一途を辿って資産価格の暴騰やインフレ率上昇問題などを、一部引き起こしてしまうはずだ。
人民銀行が国内の銀行の信用貸付をコントロールできたとしても、この時勢で中国はインフレ再燃の阻止に成功しなければならずハードルは高いと言える。