調整圧力の増加
年の取引初日に600ポイント以上の大幅上昇を見せた後、香港株式市場のパフォーマンスは小幅に上下変動を続け、ハンセン指数は今なお近年の最高値を更新しているが、昨年末と比べて明らかに勢いが弱まってきている。
いわゆる「十個牛皮,九個淡(小幅な上下変動が続く市場には9割方弱気市場が潜んでいる)」で、株式市場に一定の上昇幅が累積する際、指数の高止まりが長期間となれば、調整の可能性がより大きくなるのだ。
米国の債務上限危機はひとまずの解決を見せており、HSBC発表の中国制造業PMIデータはまたも予想より好調なのだが、どちらのニュースも香港株式市場において突破の動きを作り出せておらず、マーケットが好材料に対しひややかな態度であることを反映している。
歴史をみると市場が好材料に対しさほど反応を示していない時は、往々にして株式市場に調整が始まりつつある前兆なのである。
1月以来、香港株式市場は基本的にゆっくりと高値を探るトレンドを維持、この動きはすでに4週間以上持続している。運行周期を4~6週間で計算するならば、香港株式市場は2月中旬までにこの局面を脱して新たなトレンドを展開する可能性がある。香港株式市場は少し前の上昇の際にいくつか窓開けを残しており、このため筆者は香港株式市場の今後は窓閉めの動きをする可能性が高いと見ている。
しかし関連する調整はあくまでテクニカル的なものであるため、世界経済に新たな危機が発生せず地政学的情勢が安定を保つことさえできれば、香港株式市場は調整後に再び上昇トレンドを展開するであろう。
ここ数日、HSBCホールディングス(00005)とチャイナモバイル(00941)のトレンドが大いに異なっている。前者は持続的に高値に挑戦し、後者はより一層下落している。どちらも重量級銘柄であり、「撐匯控,沽中移動(HSBCを支持して、チャイナモバイルを売り払う)」という動きはまるで誰かがHSBCの株価押し上げにかこつけてハンセンインデックスを売り出しているのではと感じさせる。
事実、上述の現象は以前香港株式市場に比較的深い調整が入る前にも現れたことがあるのだ。チャイナモバイルが最近弱含みとなっている主な要因は利益減少の懸念と経営環境悪化という一連のマイナス材料が引き起こしており、このためチャイナモバイルの弱含みが短期間で逆転するのは難しい。このほか、少し前に急騰した中国本土の不動産関連銘柄やおよび中国本土資本の金融関連銘柄にも弱含みが出てきている。
何種類もの銘柄が短期内に再上昇する見込みは僅かであり、かつ香港ドル為替市場も続けざまに下落に転ずる状況下では、たとえ調整が入らなくとも、香港株式市場が現段階において再上昇することは難しいといえる。