日本株上昇トレンド
昨年の日本の株式市場は2割以上の上昇幅を記録し、その以前2年間の下落傾向を逆転した。
円安が日本株の反発上昇を助けていると言える。輸出はこれまでずっと日本経済の重要な柱であり、円安により輸出業績改善への市場の期待感が株式市場の反発を支える主な要因となっている。もちろん円安となれば日本製品の競争力を高めることにはなるが、為替相場競争力に影響は一部に要素にすぎず、もちろん品質もまた非常に重要だ。近年、韓国製品の躍進が日本ブランドの市場の一部侵食しており、市場奪回のためには単に円安だけでは不十分であり、日本企業は今後どのように製品のマーケットへの順応を図っていくかを検討していかなければならない。
日銀の「期限を定めない量的緩和」による円安となっているが、周知のとおり、無制限の貨幣供給拡大は経済にとってあくまで短期的な刺激にしかならず、中長期の経済パフォーマンスに実質的影響をもたらすのは難しい。このほか、日本の政府債務が山ほど積っており、適切な処理が仮にできなければ、日本にはすぐさま債務危機が訪れる可能性があるのだ。推定で日本の国家債務の対GNP比は230%と欧州PIIGS5カ国や米国の債務比率よりはるかに多くなっており問題の重大性がわかる。
幸い日本の国債は大多数が日本人によって保有されているため、日本の債務危機勃発の可能性を多少緩和している。しかし「双子の赤字(Double deficit)」問題の憂慮から、政府の国債増発の余地は否応なしに制限を受け、増発できなくなるその時には日本政府は「借金を借金で補い」続けることは不可能となり債務危機が到来してしまうだろう。
日本経済には多くの懸案事項が潜んでおり、袋小路に追い詰められ無制限の量的緩和での経済刺激のための唯一の手段となってしまった。言い換えると円安のモーメンタムは継続の可能性大となる。しかし、日本経済は根本的要因の下支えが不十分なため、円安及び無制限の量的緩和が、必ずしも日本株の好調継続を支えられるとは限らない。このほか日本株ファンドの投資家は円安により発生する為替リスクに注意を払い、つまり日本株上昇の儲けが出たにも関わらず、為替によって損失を計上に気を配って欲しいものだ。