中国輸出が底打ちとなるか要観察
9月の中国輸出入総額のデータは市場予測よりも改善しており、輸出は前年比9.9%増、輸入は前年比8月の2.6%減から、9月は前年比2.4%増へ回復した。10月初め中国本土では国慶節休暇期間があったため、クリスマス向けの発注が9月に前倒しになったと見られる。季節要因は、輸出情況が突如として改善する要因となることも多く、中国本土の輸出状況がすでに底打ちとなったのか否かを確認し、それなりに客観的な方法で2,3ヶ月のデータを観察しておいたほうが良さそうだ。
理解しておくべきは、欧州経済が衰退に陥っており、加えて米国の雇用環境が本当に改善されたのか否かまだまだ意見が多いことから、輸出業界の展望はまだまだ予断を許さない状況にあるといえる。
輸入に関してはインフラ建設プロジェクトが続々と展開するに従い、中国の原料需要が回復し鉄鉱石の輸入増加にともなう顕著な回復を牽引している。一定期間の在庫整理を経て、中国本土企業は将来的に再び増産のための在庫補充する必要が出てくる。この動きは輸入を刺激し、そういった意味の来年の予想は次第に明らかになるであろう。もし企業が本当に増産にともなう在庫確保を行うならば、来年の本土経済はそれなりに良いパフォーマンスとなるはずだ。だが企業の棚卸資産補充が棚卸資産減少に誘発されたことによる補充であれば、新たな需要の動きからくるものでは無いため、このケースの経済回復は実質的ではなく、企業の在庫確保が完了した後に、再び反落するリスクを含んでいる。
中国本土の融資統計というのも、検討に値する一つのデータだ。9月に本土銀行が新規融資額は6千数億人民元にとどまり、市場予測を下回ったものの、社会融資規模の増加幅は3 2%となっている。このデータから本土における融資需要が少ないわけではなく、融資形態の変化が生じたということである。
銀行の新規増加融資額は、社会融資規模の増加幅に反しており、資金を銀行以外のルートで融資を受ける人々がますます多くなっていることを表おり、2つの関心が芽生えてくる。第1に銀行が融資に相変わらず慎重であること。第2に、銀行以外のルートからの融資には比較的高いリスクが含まれてくるため、こういった融資が長期に渡れば経済構造に影響を与える可能性があるということだ。