QE3資金はコモディティ市場へ
市場が長らく待ち望んでいたQE3(量的緩和第3弾)がついに実施となった。
期限が設けられていないことから、市場はQE3を無限な量的緩和だと見ている。米国が紙幣増刷を継続すれば、更なる高リターンを求めて、資金はやむを得ず資産市場の投機的売買へと流れ込む。過去数年、世界経済の成長鈍化から、資産市場は経済状況と相反するトレンドが現れている。米国やドイツ・フランスなどの株式市場は反発上昇していることから、米国の雇用なき景気回復や欧州金融危機は、上述の株式市場における中長期のトレンドにほとんど影響を与えていないようである。
一方、香港においては近年の株式市場のパフォーマンスは理想的とは言えないものの、不動産市場が非常に熱く、不動産価格が絶えず高値を更新している。欧米の株式市場と香港の不動産市場のパフォーマンスが好調となるのは、グローバル資金の氾濫が原因の一つなのである。言い換えれば、QE3は資産価格を更に上昇させ、最終的により巨大な資産バブルを誘発する可能性が大いにあるのだ。
QE1及びQE2の経験から、絶え間ない紙幣増刷はインフレ問題をもたらしてしまうことを学んだ。すなわち、QE3の将来は世界経済に再び高いインフレ時代を到来させてしまう可能性が高い。歴史上、インフレが加熱する際、資金はコモディティ(商品)への代替を好むため、近頃の油や金のトレンドはとてもこの点を反映するようになっている。注目すべき点は、コモディティ市場の相場トレンドは投資需要と実質需要の影響を受けるということであり、QE3の実施は投資需要を喚起したが、実質的な需要は主に経済の要因に左右される。
QE3の実施で、資金増加は投資需要を増加させた。しかし世界経済の将来性はまだ明るくなっていないどころか、かえって実質需要を抑えてしまった。もし前者の投資需要の力が後者の実質需要より高いと、コモディティ(商品)の価格は自然に上昇する。逆であれば、コモディティの価格は調整圧力がかかる。大衆の投資対象としてのコモディティとして、ゴールド(金)の商業用途は少ないほうで、購入者は価値を保全することを主な目標とする。しかし、石油や銅の類のコモディティとなると、経済の広範囲で用途が存在し価格の高騰は経済成長に影響を与える。
米国は石油の備蓄によって石油価格を抑えて市場圧力の緩和を試みたことがある。金(ゴールド)への投資と比較すると、経済の広範囲で用途があるコモディティへの投資は、政策によるそれなりのリスクを十分踏まえておく必要があると言えよう。