地方政府の景気刺激策は後遺症を誘発
中国本土における上半期の経済成長率は8%を下回った。ある報道によれば、中央政府の景気刺激策と歩調を合わし地方政府が次々と大型投資プロジェクトを実施しており、プロジェクトに関連する金額はおそらく7兆人民元(約86.5兆円)に達するとみられている。
この金額は09年に中央政府が景気刺激策を実施した際の4兆元(約49.4兆円)をはるかに上回っている。経済下降局面において措置策を講じて経済を刺激することは声をあらげて非難すべきことではないが、本来むやみやたらと抗生物質を投与など絶対に避けるべきである。さもなければ、これから直面する問題は更に複雑困難となる。過去の4兆元の景気刺激策は09年の本土経済を迅速に金融危機の底から救い出したことは認めるものの、資産バブルや急なインフレ、重複建設などの問題をもたらしてしまった。
4兆元の刺激策がすでに大量の処理しがたい後遺症をもたらしていることから、7兆元の市場救済措置に潜む副作用は想像しやすいのではないだろうか。
地方政府が次々と大型投資プロジェクトを打ち出しているものの、地方融資プラットフォームは制限を受けているため、どのような資金運営でプロジェクトを展開するのかが疑問が残る。この点を考慮に入れて、ある地方政府では民間の入札募集を行い、民間資金を利用してプロジェクトの発展を推進している。この点に関し、地方政府は細心の注意を払わなくてはならない。もしプロジェクトが本当に経済効果をもたらすことが可能ならば、地方政府と民間ともにメリットはあるだろうが、逆に地方政府の都合で民間の元手を飛ばすことがあれば、その時、経済は更なる悪化を招き、更なる社会不安をもたらしかねないだろう。
目下、中国本土経済への応急措置のほか、構造改革も本来、同時に行わなければならない。言い換えれば、構造改革を伴わず、絶えず資金供給、建設を行うだけでは短期的な繁栄をもたらすことしかできず、長期的で健全な中国経済発展の助けとはなららない。地方政府の巨額経済刺激プロジェクトの打ち出し際し、中央政府がどのような対応に出るのかは関心に値する。もし関連プロジェクトに多くのリスクが潜在することがわかれば、中央政府は差し止めに出るかもしれない。しかし、今年予定されている「十八大(第18回中国共産党全国代表大会)」は開催されていなく、この次期政権の人選結果が出る前の状況では、中央と地方政府の経済刺激プロジェクト協調は難しいと考えられる。