アジア市場、荒波の中に“成長の鉱脈”が光る
アジア全域でボラティリティが急上昇し、第2四半期は多くの主要セクターが足踏み状態に。テクノロジーや消費財といった外需依存の高い業種は、貿易摩擦の影響を直撃されました。一方で、公益事業やヘルスケアなどのディフェンシブセクターは安定感を発揮し、逆風下でも強さを見せています。
しかし、2025年から2026年にかけて、日本を除くアジアの企業利益は平均で2桁成長が見込まれているのです。そのけん引役となるのが、急成長中のハイテクセクター。半導体、AI、ロボティクス、eコマースなど、未来を形作る分野への投資マネーが集まりつつあります。
さらに、素材、金融、ヘルスケアといった分野も、インフラ需要や拡大する中間層(特にインドのような新興市場)を背景に、着実な成長が期待されます。政策リスクはあるものの、「選び抜かれた企業」には確かな成長ストーリーが存在しており、セクターをまたぐ分散投資で質の高いチャンスを拾うことが可能です。
足元のマーケットでは、*シンガポールのストレーツ・タイムズ指数(STI)が、世界的な貿易摩擦にもかかわらず週間で2.78%の上昇を記録し、投資家心理の回復と安全資産への回帰の動きを印象づけました。特に注目すべきは、政府と企業の動きです。
ガン・キム・ヨン副首相は、米国による医薬品課税の懸念に対して、貿易ハブとしてのシンガポールが外交交渉を進めていると表明。シンガポールの対米輸出の約10%を占める医薬品産業は、今後の交渉の行方次第で新たな上昇余地を得る可能性もあります。
また、シンガポール市場では金融大手による自社株買いが目立ち、足元の株価低迷をむしろ好機と捉える動きも強まっています。ブルームバーグのデータによれば、4月1日〜23日の自社株買いのうち、DBSグループが約半分を占め、UOBが約25%、OCBCが8%超と、3大銀行が積極姿勢を示しています。これは市場に対する自信の表れでもあり、株主還元姿勢の強化としても注目に値します。
短期の波に惑わされず、長期の視野で未来を狙うなら──いま、アジアに潜む成長の原石に注目すべきときかもしれません。