揺れる世界市場、広がる分岐の先にある“選ばれし投資先”とは?
貿易摩擦の長期化が続くなか、リスク市場は方向感に乏しい展開に。米ドル指数は一段安となり、米国のソフトデータは弱含む一方、ハードデータは底堅さを維持。パウエルFRB議長も通商政策の影響について「予想以上に大きい」と警戒感をにじませました。米国債利回りは高値から反落し、主要国の国債は上昇。IG・HY債スプレッドは米欧ともに縮小しました。
株式市場では米国のハイテク株が重しとなり、軟調な推移。欧州株は反発し、日本の日経平均も上昇。注目すべきは新興国株の健闘で、中国の堅調なマクロデータを追い風に、インドSENSEXや韓国KOSPI、上海総合指数が上昇。商品市場では金が最高値を更新し、原油も安定的に推移。「逃避先」と「上昇余地」が共存する珍しいタイミングと言えるでしょう。
ECBは25bpsの利下げに踏み切り、昨年からの合計引き下げ幅は175bpsに。声明からは「制限的」という文言も削除され、緩和姿勢が鮮明に。ラガルド総裁は製造業と雇用の底堅さを指摘しながらも、**「ショックのない世界など、今は存在しない」**と現実を直視。6月利下げの織り込みは94%に達し、年末までに2回以上の利下げが見込まれる状況となっています。
とはいえ、すべての市場が一様に不安定というわけではありません。インド株は対米輸出の比重が低く、足元の内需拡大と政策支援に支えられ、逆行高を演出。インフラ投資、RBIの緩和姿勢、サービス雇用の伸びといった構造的な強さが再評価され始めています。もちろん関税の影響は無視できませんが、長期的には構造改革が進展し、「投資しやすい国」としての地位を強化していく可能性が高いでしょう。
世界が不安定な時こそ、“成長の種”は明確に見えてくるもの。インドは今、その筆頭候補として再浮上しているのかもしれません。