米国の追加関税措置とDeepSeek
米国は2月4日より、カナダとメキシコからの輸入品に25%の関税(カナダのエネルギー製品には10%)を課し、中国製品には10%の追加関税を適用する。この措置に対し、3カ国は米国製品に対する関税および非関税措置を組み合わせた報復措置を講じるとともに、世界貿易機関(WTO)に提訴する意向を示している。一方、トランプ大統領は、報復措置が取られた場合、さらなる関税引き上げを行うと警告しており、今後の動向が注目される。
これらの関税は、米国の南北国境を越える違法移民の対策や、違法薬物、特にフェンタニルの流入抑制を目的としており、国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づいて実施される。対象となるのは、米国の輸入先上位3カ国であり、米国の輸入全体の40%以上に影響を及ぼすことになる。
この関税措置が緩和されない場合、当社の試算では、メキシコのGDPは最初の2年間で1.0~2.5%減少し、カナダのGDPは数年間で2.5%減少する可能性がある。一方、メキシコとカナダは国境警備および麻薬対策を強化しており、交渉による緩和の余地があるかどうかが注目される。投資家としては、関税導入の影響が外国為替市場のさらなる変動を引き起こし、米ドルを支える要因となる可能性がある点を注視したい。すでにパウエルFRB議長は、FRBとして政権の政策変更の影響を慎重に見極める考えを示している。
AI市場の変動と今後の投資機会
DeepSeekV3とR1のリリースを受け、市場の期待が一時的にリセットされる中、AI関連銘柄の変動性は引き続き高い状態が続いている。しかし、AIモデルのコスト効率向上は、ジェネレーティブAIを活用した新サービスの普及を後押しし、次世代医薬品、自動化、サイバーセキュリティなどの分野で新たなAIアプリケーションの成長を促す原動力となるだろう。
現時点では、よりコスト効率の高いAIモデルの登場や、各国間のAI技術競争がもたらす影響を完全に評価するのは時期尚早である。しかし、AIの普及が加速すれば、AIインフラ需要の拡大も同時に進むため、設備投資の大きなトレンドが変わる可能性は低い。むしろ、AI関連市場は中長期的に見ればさらなる成長の余地があり、戦略的な投資判断が求められる局面といえる。