FRBの大胆な利下げがもたらす影響
FRBが0.50%の大胆な利下げを実施したことで、世界の市場はリスク選好の動きが加速しています。信用スプレッドが縮小し、米国債の利回りがドイツ国債を下回るという異例の事態となりました。10年物の米国債利回りが急騰した結果、米国のイールドカーブは一段とスティープ化しています。この動きは、特に短期的な市場のリターンを狙う投資家にとって、魅力的な投資機会を生み出す可能性があります。
パウエルFRB議長は、「FOMCの2024年と2025年の金利予想中央値が0.75%引き下げられた」と述べ、さらなる緩和の可能性を示唆しました。これを受けて、S&P500種指数は過去最高値を更新し、金利に敏感なラッセル2000種指数も好調な動きを見せています。ユーロ圏でも、ユーロ・ストックス50種指数が大幅に上昇し、日本の日経平均は、日銀が政策を据え置いたことで円安が進み、追い風を受けました。これらの市場動向は、今後も積極的な投資を促す材料となるでしょう。
エマージング市場では、香港のハンセン指数が他の市場をアウトパフォームする中、ブラジルのボベスパ指数は、中央銀行が金利を0.25%引き上げたことで一時的な下落を見せました。しかし、この調整は一時的なものであり、長期的な視点では新たな買い時と見られています。
コモディティ市場でも、地政学的緊張の高まりが原油価格を押し上げ、金は史上最高値を更新、銅も強含みで推移しています。こうした資源の高騰は、関連産業への投資を加速させる好機と捉えられるでしょう。
日本銀行は9月の会合で政策金利を0.25%に据え置き、7月の利上げ後も市場のボラティリティが続いている中、慎重な姿勢を崩していません。植田総裁は、対外情勢が依然として不確実性に満ちていること、そして物価上昇リスクが後退していることを背景に、日銀の次の政策決定は2024年以降になるとの見方を示しました。
こうした慎重なスタンスの中でも、円安が進行し続けると予想され、日本株には追い風が吹いています。日銀の政策正常化における緩やかな動きや、コーポレートガバナンス改革の進展により、日本株の収益成長が加速する可能性が高いと見られており、日本株へのオーバーウエイト戦略を再表明しています。円高の余地が限定されているため、2024年末には米ドル/円が142円、2025年半ばには138円になるとの予測も維持しています。この動きは、外貨建て投資における戦略的チャンスを提供するでしょう。
中国では、規制当局が主要都市での住宅購入制限を緩和する提案を検討しており、これは不動産市場にとって新たな好材料となりそうです。また、CSI300指数が前年同期比7%下落したことを受け、当局は株式市場を支援する新たな措置も講じる可能性があります。
習近平国家主席が、経済成長に向けた政策支援を強化する意向を示している中、PBoC(中国人民銀行)が2024年末までに50bpの準備預金率(RRR)引き下げを実施するとの観測も高まっています。さらに、FRBが緩和サイクルをスタートさせたことに伴い、PBoCも年内に20bpの政策金利引き下げを行う可能性があります。とはいえ、中国株市場に対する投資家の心理は依然として弱く、中立的なスタンスを保つべき状況が続いています。しかし、政策支援の強化と市場の改善が確認されれば、中国株は再び活発な動きを見せる可能性があります。