米国経済の回復基調が示す投資機会:市場の懸念は過剰か?
小売売上高と失業保険申請件数の良好な結果を受け、市場の米国景気後退に対する懸念は一段と和らぎました。S&P500種指数は先週1週間で+3.9%の上昇を見せ、7月16日に記録した史上最高値5,667に対し、わずか2%低い5,554に達しました。特に注目すべきは、7月の米小売売上高が前月比+1.0%とコンセンサスの+0.4%を大幅に上回ったことです。同時に、新規失業保険申請件数が先週7,000件減少し、22万7,000件となり、2週連続で減少しました。これは、市場の楽観的な見通しを支える要因となっています。また、大型ハイテク株は8月初旬の急落から急速に回復し、ナスダック総合株価指数は先週+5.2%の上昇を記録しました。このような予想を上回るマクロ経済データが発表される中で、景気後退懸念が行き過ぎであったとの見方が広がりつつあります。
堅調な消費と堅調な設備投資により、第2四半期の経済成長率は年率換算で3.1%増と、コンセンサスの2.3%増を上回りました。これにより、日本の成長見通しは引き続き明るいものとなっています。記録的な賃上げ、政府による家計への単発減税、エネルギー補助金の再開などが内需の見通しを引き続き支えるでしょう。このような力強い経済成長の背景には、日本国内の富裕層にとっても有利な投資機会が増えることが予想され、今後の投資活動に対する自信をさらに高める要因となるでしょう。GDPの堅調な成長は、先月の日銀の利上げ決定を一層合理化するものであり、日銀は最近の市場の不安定さにもかかわらず、慎重ながらも今後の政策正常化に向けた取り組みを続けると見られます。
今週は、毎年恒例のジャクソンホール経済シンポジウム(8月22~24日)と7月のFOMC議事録が発表され、FRBの利下げが今後の経済政策にどのように影響するかが注目されています。この1週間の経済指標により、米国の景気後退が差し迫っているとの市場の懸念が過剰であったことが再確認されました。ディスインフレの進展が順調に進み、個人消費の見通しも依然として健全であることから、労働市場が7月の非農業部門雇用者数が示すほど軟調でない可能性が示唆されています。こうした背景から、2024年においてFRBが25bpの利下げを3回行うとの見通しが引き続き支持されています。また、ファクトセットのデータによると、第2四半期決算を発表したS&P500企業の93%がコンセンサス予想を上回り、混合EPS成長率は前年同期比10.9%となっています。このような強固な成長ファンダメンタルズと企業業績の見通しは、米国景気後退への懸念をさらに和らげ、リスクセンチメントの回復を後押ししています。米国株は今月初めの給与支払い後の安値から7.1%反発し、先週はさらに3.9%上昇しました。
中国本土では、7月の不動産販売件数が前年同月比で16%減少し、住宅価格の下落も続いています。また、不動産関連投資も前年同月比10.8%減少するなど、引き続き低迷しています。この状況は、中国経済にとって依然として大きな逆風となっていますが、不動産市場を安定させ、2024年のGDP成長率目標である5%を達成するためには、より強力な政策支援が期待されます。