選挙年の市場サプライズと投資のヒント
先週、米国の経済データの軟化が一段と明確になり、FRBによる早期の利下げ観測が強まったことから、市場のセンチメントが一気に上向きました。これに加え、欧州中央銀行(ECB)の0.25%の利下げが期待されていたこともあり、投資家の間では歓喜の声が広がりました。結果として、米国とユーロ圏の株式市場は最高値を更新し、特にハイテク株が多いナスダック指数は急騰しました。この背景には、ソブリン債の利回り低下とドル安が影響しており、他の主要な中東・アフリカ市場も軒並み上昇しました。
さらに、インドのSENSEXは選挙結果によって政府の政策継続が示唆され、不安定な一週間を高値で終えました。
2024年は、選挙によるサプライズが投資市場を揺さぶる可能性のある年となりそうです。先週、インド、メキシコ、南アフリカの選挙が終了し、その一部を垣間見ることができました。特にインドでは、世論調査の最大のミスが発生し、ナレンドラ・モディ首相が率いる与党BJPが過半数を失い、新しい連立政権が誕生しました。インドは世界で最も急成長している経済大国であり、強力な成長ストーリーと急上昇する株式市場を持つ国です。この結果を受けて、世界の投資家が慎重になるのも理解できます。当初、株価はサプライズによって下落しましたが、その後、政策の継続性が見込まれることから反発しました。新しいインドの政権が最近の成長促進・改革志向のアジェンダから逸脱することはないと見られており、アナリストたちは緩やかな財政再建が続くと予測しています。
しかし、上海総合指数は予想を上回る輸出データがあったにもかかわらず下落しました。コモディティ市場では、OPEC+総会後の供給見通しを注視する投資家が多く、原油価格は上昇に転じました。また、金と銅もともに反発して終わっています。
残る2024年も選挙が多く、予想外の結果が市場に大きな影響を与えるリスクを改めて浮き彫りにしました。投資家の期待からわずかに外れるだけで、市場のボラティリティが急上昇することを私たちに思い出させました。