リスク市場の動向と注目すべき経済指標
地政学的な懸念と米国の金利不安が依然としてリスク市場に重しとなっている。パウエルFRB議長が「米国のインフレ率が中期目標の2%に達するにはまだ時間がかかりそうだ」と認めたこともあり、米国債は安全資産としてのフローに支えられている。さらに、堅調な米国の経済指標を受けて、年内の利下げ回数は1~2回にとどまるとの市場の予想が強まっている。米国株は、投資家が第1四半期の決算を消化したことから全面安となり、ユーロ・ストックス50指数は横ばいで推移している。日本の日経平均は不安定な取引により下落し、円相場は対ドルで安定している。欧州通貨市場では、中国の経済データがまちまちの中、投資家にやさしい新しい株式市場規則を支持する公式コメントを受けて上海総合指数が上昇したが、インドのSENSEX指数は下落している。コモディティ市場では、トレーダーが中東の緊張を考慮して、先週の原油価格が下落している。金価格は史上最高値圏で推移している。
今週、市場は米国の第1四半期GDPと3月のPCEインフレ率の発表に注目している。第1四半期のGDPは前期比年率2.6%増、3月のコアPCEは前年同期比2.7%増と予想されている。FRBの利下げ時期が遅れる可能性にはリスクがあるものの、10年物米国債の利回りは現在の高水準から徐々に低下し、年末には3%に達すると予想されている。加えて、第1四半期の経済成長と決算は、経済の力強いモメンタムを再確認するものと予想されている。
中国証券監督管理委員会(CSRC)は先週金曜日、中国本土と香港の株式市場の連結性を高めるため、香港の国際金融センターとしての地位を強化する5つの新措置を発表した。新たな措置は、中国本土の有力企業が香港での新規株式公開を支援し、ストックコネクトを通じた上場投資信託商品の適格基準を緩和するものである。新たな政策は、市場心理の改善に寄与する可能性はあるが、過去の同様の資本市場活性化の動きを示す歴史的証拠に基づくと、大幅なプラス効果が現れるまでにはまだ時間がかかると考えられている。中国本土と香港の株式については、中立的なポジションを維持している。