米国インフレと地政学リスク
米国のインフレデータが市場の期待を下回り、リスク資産が一服した影響で、米国金利の上昇期待が再び強まりました。この動きの中、主要国債は軟調な動きを見せました。欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は、6月のユーロ圏の利下げの可能性を示唆しました。米国株市場は混在しました。金利に敏感なラッセル2000は苦戦しましたが、大型テクノロジー株は先週後半に失った地を取り戻しました。ユーロストックス50指数は横ばいで推移し、日本の日経平均は円安の動きを受けて反発しました。新興市場では、中国の上海総合指数がデフレ懸念の影響を受けて下落しました。一方、インドのSENSEXは最高値を更新しましたが、米国のインフレ指標の影響で後退しました。コモディティ市場では、地政学的な懸念がエネルギー価格をサポートしています。金価格は最高値を更新し、安全資産としての魅力を高めています。
イスラエルとイランの緊張がエスカレートすれば、原油価格が100米ドル/bを超える可能性があります。このような状況では、安全資産への需要が高まり、米国債や優良債券が支持されると予想されます。米国株に関しては、市場の質の高さが引き続き魅力的です。一方、エネルギー価格の上昇が欧州の経済回復に悪影響を及ぼす可能性があるため、米国株が欧州を上回る動きを期待しています。地政学的なリスクと米ドルの強さが相まって、EMEA資産への投資感情が圧迫される可能性があります。このため、EMEA株式のアンダーウェイトを維持します。しかし、地政学的なリスクが緩和されるシナリオでは、経済の基本的な改善が背景となり、世界株式と優良債券への中期的なポジティブな見方を維持します。