債券利回りの低下が米国株と金の上昇を牽引
最近のFRBのハト派的な発言により、2024年中の利下げの観測が高まり、それに伴ってリスク選好的な動きが続いています。米国債は特にフロントエンドで著しい上昇を見せ、2年物利回りは7月中旬以来の低水準に達しました。一方で、ユーロ圏のインフレ率が予想を下回ったことで、欧州ソブリン債は上昇しました。
世界の株式市場は、最近の上昇トレンドを引き継ぎ、ユーロ圏と米国の株価がプラスに転じました。ただし、円が米ドルに対して上昇した影響で、日本の日経平均株価は伸び悩んでいます。新興市場では、PMI調査の結果がまちまちで、中国株が低調となりました。また、コモディティ市場では、OPEC+が約0.9百万B/Dの原油減産を24年第1四半期まで延長するとの決定がありました。しかし、OPEC+加盟国がこの合意に本当にコミットしているかどうかへの投資家の懸念から、ブレント原油は上昇しきれませんでした。金価格は、米国の実質利回りの低下に支えられ、わずかですが上昇しています。
米国10年債の利回りは先週金曜の終値で4.20%まで低下し、1ヵ月前の4.79%から59ベーシスポイントも減少しました。この中で、債券利回りの低下と同様に、金価格も史上最高値を更新し、現在では1オンスあたり2,090米ドル近くに達しています。
先週金曜日、パウエルFRB議長はFRBの慎重な動きに言及し、FOMCが12月12日から13日の会合で政策金利を据え置く可能性が高いことを示唆しました。また、市場で強まっている来年早々の利下げ観測にも反発しました。パウエル議長のガイダンスは、政策金利がピークに達し、FRBの利下げが2024年第3四半期に始まるとする我々の基本ケースを補強し、米国債、グローバルIG債、米国株式のオーバーウェイト・ポジションを支持しました。
また、12月8日に発表される11月の雇用統計で、ソフトランディングの傾向が再確認されるとの予測があります。引き続き、市場の動向に注視しながら、有益な情報や展望に関するご質問がございましたらお気軽にお知らせください