不動産セクターのポジティブな動きは鼓舞材料
米国の引き締めサイクルは終了したとの楽観論が高まり、リスク市場を下支えしています。2024年末までのFRBによる利下げが米国債の短期金利に織り込まれ、コア国債は最近の上昇に続いて堅調に推移しています。連休明けの今週、S&P500種株価指数はまずまずの上昇を記録し、ハイテク株主導のナスダックも上昇しています。アジアでは、円相場が対米ドルで安定したため、日経平均は横ばいの展開を見せ、中国の上海指数も重要なPMI調査を控えつつも、直近の上昇を維持しています。商品市況では、減産計画の規模を巡り意見が対立する中、OPECの月例定例会合が予想外に延期されたことから原油が下落しました。金も下落しましたが、銅は上昇しています。
ここ数日、中国の不動産セクターではポジティブなニュースが相次ぎ、各種融資の対象となる50社のデベロッパーのホワイトリスト候補が広範なメディアで報じられました。これに加えて、深セン市政府はセカンドハウスの頭金比率を70~80%から40%に引き下げ、標準的な住宅の基準も緩和すると発表しました。後者の発表は、北京や上海などの他のTier1都市にも波及し、追随する可能性があることから、これは非常に重要な発表と見なしています。
より断固とした政策緩和に支えられ、当社は最近、中国のGDP見通しを2023年に5.2%、2024年に4.9%に上方修正しました。ただし、銀行が経営難に陥ったデベロッパーに追加融資を行うかどうかについては、まだ不透明感が残っています。ホワイトリストガイダンスは、選択されたデベロッパーの短期的な流動性リスクを軽減する可能性もありますが、実施された場合、長期的には銀行に新たな資産の質リスクをもたらす可能性も考えられます。
中国の不動産セクターにおけるポジティブな動きは、市場にとって大いに鼓舞材料です。特に、深セン市政府の政策変更は他の主要都市にも波及する可能性があり、これが中国全体の経済に対する良好な影響をもたらすことが期待されます。ただし、デベロッパーへの追加融資や新たな資産リスクの問題は懸念材料とも言えます。今後の展開に注目が集まります。