給付の分配が改革の効果を左右する
訪米中の習近平主席は、中国の改革は「噛みにくい骨」であることを承知で進めなければならないと述べた。長年にわたる急速な発展を経て、大陸経済には多くの問題が蓄積され、習近平体制は改革による解決に尽力してきたが、ほとんど成功していない。改革の過程では、利益を得る人もいれば、改革によって利益が損なわれる人もいる。改革を円滑に実施するためには、中央政府は各関係者の利益のバランスを取る必要があるが、その作業は大変なもので、それを怠ると必ず抵抗が大きくなる。
最近、アジア開発銀行や国家基金などの組織が、今年と来年の世界経済成長予測を引き下げ、大陸経済の減速が続いていることを世界経済成長の鈍化の原因としている。一部の国際機関によると、中国大陸の経済成長率は7%を下回ると推定されている。中国本土にとって、経済成長が7%を下回ると、雇用情勢が悪化し、社会的不安定が生じる可能性があるため、「7%を維持する」ことが重要である。安定が何よりも大切だという前提で、中央政府はあらゆる手段を使って「7を維持」する。経済成長率7%を維持できなければ、現在の市場の悲観論がさらに強まる可能性がある。
中央政府は来月に中央委員会第5回全体会議を開催し、年末には経済工作会議がある。来年は第13次5カ年計画のスタートの年であり、中央政府が今後の経済の方向性をどう示すかは、世界の注目の的となる。中央政府による「激しい市場救済」と人民元の急激な切り下げ以降、大陸の市場自由化の後退が懸念され、市場の信頼回復が中央政府の優先事項の一つになっている。習主席は訪米中、中国が外資規制をさらに緩和すると発言したが、これは市場の懸念を払拭するのに役立つ動きである。