弱気相場入り不可避
中国経済の低迷の継続や新興国通貨の急落、米国での9月の利上げの可能性などから、最近の世界の株式市場は大きな圧力を受けており、多くの市場が高値から20%以上下落し、弱気相場の様相を呈している。人民元の急激な切り下げは、すでにストレスのかかっていた新興国通貨のさらなる下落や資本逃避を誘発し、新興国での金融危機が懸念されるようになった。新興国や企業はここ数年、米ドル建て債券を大量に発行しており、切り下げによって債務負担が増大し、米国が利上げを行えばさらに悪化することになる。新興国が金融危機を回避できたとしても、通貨の切り下げや株式市場の急落はすでに経済に影響を与えており、近年好調な米国経済も新興国経済の圧力には勝てないだろう。
現在の苦境に直面し、政府や中央銀行がどのように対応するかが、市場のもう一つの焦点となっている。株式市場の下落を緩和するため、台湾は救済策を打ち出し、本土では年金基金が株式市場に投資できるようになったとの報道もある。株式市場の下落は経済見通しの悪化が原因であり、やみくもに市場を救済することは本末転倒である。さらに介入後に株式市場が止まらなければ、人々は政府と中央銀行に対する信頼を失うことになる。中国中央政府の暴力的な救済措置によって株式市場は安定したが、ネガティブなニュースに直面し、結局、株式市場は救済措置前の安値を割り込んだ。 A株市場の動向は、ファンダメンタル要因のサポートがなければ、暴力的な救済措置は株式市場の全般的な方向性を変えることができないということを示している。株式市場を安定させるために、地方自治体や中央銀行は、まず景気を良くする方法を考えるべきだ。
新興国市場でいずれ金融危機が発生するかどうかにかかわらず、ここ数カ月の世界金融市場の変動は世界経済の成長を鈍らせるのに十分であり、一部の国は景気後退に陥る危険性がある。景気後退の結果、企業業績が悪化する可能性があり企業業績の見通しは決して楽観視できるものではなく、株式市場が安定的に推移したとしても、回復の余地は極めて限らるだろう。