F利上げの延期はあり得る
米連邦準備制度理事会(FRB)は今回の会合後の声明で、利上げ時期を明示しなかったが、労働市場に関する見方を上方修正した。 市場は、FRBが早ければ9月に利上げし、9月に利上げしない場合でも年内に一度は利上げを行うと見ている。
中国本土では、最新の製造業PMIデータによると、中国経済はまだ脱却しておらず、先にA株が急落したこともあり、景気の先行きが心配されるところだ。大陸経済の不振は、欧州や日本などの主要貿易相手国の経済パフォーマンスの足を引っ張り、米国経済も苦境に立たされることになる。先に、A株の急落により米国株が急落したが、これは米国が大陸の不安定と無縁ではないことを示すものである。国際的な要因が米国経済の発展に寄与していない以上、米国が来年に利上げを実施しない可能性もないとは言えない。
投資家は心理的に今年の米国の利上げに備え、それが世界の資本フローにどのような影響を与えるか懸念されている。利上げを見越した米ドル高を背景に、米ドルへの資金流入が商品価格の下落を招き、米ドル以外の通貨が下落し、中でも新興国通貨の下落が顕著になった。現在の新興国の財政状況を考えると、アジアを中心に大規模な金融危機が発生する可能性は低いが、通貨安が新興国の資産価格を圧迫するのは必至。したがって、FRBは、進行中のギリシャ問題や本土経済の改善の遅れなどの国際的要因が安定化するまで、利上げを無期限に延期することも考えらる。
ギリシャ問題はひとまず安定したが、周知のようにギリシャ問題を完全に解決するのは容易ではない。 ギリシャで早期選挙が行われれば、次期政権が現政権と債権団との合意を覆し、再びギリシャ問題が起こるかもしれない。