インフレは人民銀行の金融政策を制限
中国本土のインフレ率が下落し続けており、人民銀行が短期間のうちに更に金融緩和を行う可能性が高まっている。しかし金融緩和の実施で本当に景気の底打ちできるかどうかは依然として疑問が残る。今年に入り、人民銀行はすでに何度も金利引下げや預金準備金率の引下げを行っているものの、株式市場の反応を見る限り、明らかに市場は人民銀行の動きに対して冷ややかである。
中国の金融緩和政策が経済刺激の効果を発揮できるかどうかは、民間や企業が先行きに自信を持てるかどうかが肝心となる。もし自信が回復すれば、金融緩和実施により貸付け需要を刺激し、経済は強含みへ回復するはずだ。反対に自信がないままであれば、貸付け需要は低迷を続け、このためより多くの流動性があるとしても、経済が弱含みの傾向から脱するのは難しい。
経済が金融緩和によって好転できるかどうかに注意するだけでなく、市場において米国の干害が誘発する食糧価格急騰が中国のインフレを反発させてしまわないかにも注意が必要だ。急激にインフレへと反発上昇すれば、人民銀行の次の金融緩和は制限を受けることになる。ここ数ヶ月で、国際食糧価格は大幅に高騰しており、遅かれ早かれ中国国内の食品価格は下落から上昇に転じてしまう。主に中国本土のインフレ圧力は食品価格の上昇から来ているため、いったん食品価格が反発上昇すれば、中国本土全体にインフレ圧力がかけてしまう。インフレの再来に直面すると、人民銀の金融政策は苦しい選択を迫られ、この先もただ暗中模索のなか進んでいくしかないだろう。
欧州、米国、中国などの経済主要国が全力で景気対策を実施するなかで、逆流するかのようにカナダ中央銀行は金利引上げの動きを見せた。その理由はすでにカナダ経済が全面的に生産能力レベルに回復したことにある。
全世界の経済が協調へと向かう現在、カナダ経済が本当に他国の影響を受けることなく独自で経済を加速できるのかどうか注目すべきである。しかし、カナダが利上げに踏み込むと、国際資金がカナダへと流れこむ可能性が出てくる。資金が欧米中の地域から大挙して流出すれば、欧州、米国、中国の三国の経済は多かれ少なかれ打撃を受けるだろう。カナダには大量のエネルギーが確保された資源国があるため、資金はおそらくカナダに流れ込み、全世界のエネルギー価格が上昇し、世界経済回復に不利に働くであろう。