ダウ・ジョーンズ輸送株平均に注目
米国の第1四半期の経済成長率は0.2%となり、市場予想の1%を大きく下回った。
第1四半期の経済が予想を下回ったのは、寒さと米ドル高、原油安によるエネルギー企業の設備投資の減少などが主な要因。経済活動を反映するDow Jones Transportation Indexが長らく低迷していたこともあり、第1四半期に経済が期待通りに推移しなかったことに驚きはなかったことと、寒さが峠を越えたこと、最近の米ドル安、原油価格が低水準から回復したことなどにより、第2四半期の景気は第1四半期に比べて改善すると予想される。米国の先行きを理解するために、投資家はダウ・ジョーンズ輸送株平均が引き続き低迷している場合、第2四半期に景気が回復したとしても、先行きに不安が残るので同指数の今後のパフォーマンスに注目するとよいだろう。
FRBは会合後の最新の声明で、経済パフォーマンスに影響を与える短期的な要因に言及し、金利を引き上げる前に経済と雇用市場がさらに改善するのを待つとした。全体的に見て、FRBの新しい会合後の声明の表現とトーンは、前回の声明とあまり変わらないもので金利先物では、6月の米国の利上げの可能性はゼロに近いとされており、市場では、FRBの利上げは早くても年末まで行われないと考えられている。米国では来年、大統領選挙が行わるが、年内に利上げが行われなければ、FRBは選挙後まで利上げを行わない可能性が大きくなる。
目先の米国の利上げの可能性が低下して米国の通貨指数が弱くなり、ユーロや日本円などの通貨が反対に高くなっている。ユーロと円はキャリートレードの通貨であるため、米ドル安はキャリートレードの巻き戻しを誘発し、世界の株式市場の短期的なパフォーマンスに悪影響を及ぼす可能性がある。しかし、欧州や日本の中央銀行が量的緩和政策を維持していることや、市場が米国の年内利上げの可能性が残っていると考えていることから、米ドルは一旦調整の後、再び強さを取り戻すことが予想される。