オーストラリア、追加利下げの検討
欧州中央銀行/ECBが3月からの量的緩和を発表したことをきっかけに、オーストラリアをはじめとする世界各国が緩和の流れが始まった。オーストラリア準備銀行/RBAは金利を4分の1に先立ち引き下げた。
豪ドルはもともと「金利がいい」と人気があり、今回の利下げで豪ドルの魅力が損なわれたことは間違いないだろう。 オーストラリアが利下げを行った理由は、第一に経済の下降圧力を和らげること、第二に自国の競争力を維持すること、の2点だ。
オーストラリアの1月の失業率は6.4%となり、12月に比べて0.3ポイント上昇し、2002年8月以来の高水準を記録し、雇用者数は12,200人減少。以上のデータは、オーストラリア経済が弱含みに転じたことを示している。
オーストラリアは一次産品の主要国であり、中国への鉱物の主な輸出先となっている。近年、中国経済が弱体化を続ける中、オーストラリアの鉱業は必然的に圧力を受けている。また、ここ数ヶ月の原油価格の急落に引きずられて、世界の商品価格は全般的に低迷しており、オーストラリアの鉱業も打撃を受けている。
中国の景気が回復しない限り、オーストラリアの鉱業部門の低迷は維持される可能性が高く、オーストラリア経済がさらに減速する可能性がある。
ECBの量的緩和の決定を受けて、実質的に通貨戦争が勃発したと言えよう。主要通貨が切り下げ競争を繰り広げる中、オーストラリアは競争力を維持するために金利引き下げによる豪ドルの切り下げを余儀なくされ、つまり、豪ドル以外の通貨が安くなり続けると、RBAが豪ドル安の継続を容認する理由となる。
現在の経済状況を鑑みると、RBAは将来的に再び利下げを行う可能性が高いと思われる。しかし、現在のオーストラリアの不動産市場は非常に過熱しており、一部の分析では、オーストラリアの現在の不動産価格は適正価格の50%を超えており、金利引き下げによって不動産市場がさらに過熱する可能性があると指摘されている。景気の低迷、通貨戦争の勃発、不動産バブルなどの課題に直面し、RBAの今後の舵取りは一層困難となるだろう。