中国A株のリスク要因
昨年を振り返ると、A株のパフォーマンスは世界のトップで、SSEは50%以上の上昇を記録した。2015年に入り市場は総じてA株に対して楽観的な見方を続けている。A株ブームは富裕層の効果を生み出すことができ、中国経済にとっても良いことであるが、しかし、投資家はいつでもA株ショックを引き起こす可能性のあるいくつかの潜在的なリスク要因に注意する必要がある。
A株の上昇トレンドは主に中国人民銀行の「放水」によるものであり、年内も人民銀行の其れが株式市場のプラス要因と期待されている。中国経済がまだ底打ちとなっておらず、下振れ圧力が依然存在している点だ。中国本土の株式市場に実体経済を反映させるには、株式市場と経済の動きが相反する状況を長く続けさせておくわけにはいかない。つまり、A株の強勢を長期的に維持するには、今年の中国本土経済において軌道修正が不可欠となろう。
李克強首相は、中小零細企業が融資を受けるのは難しいと繰り返し発言しており、PBOCの「放水」の目的の一つは、中小零細企業の金融圧力を緩和することにあると考えるのが妥当だろう。しかし、日本銀行の利下げ後、大量の資金が株式市場に流入しているこの現象を中央政府が望んでいるかどうかは注目に値する。しかし、中小企業のニーズを無視して株式市場にばかり資金が流れてしまうと、中央政府は資金の流れを方向転換し、株式市場から撤退して実体経済に戻るように要請する。
A株は個人投資家が主役の市場なので、誰かが率先して商品を売り抜けてしまうと調整圧力は実に大きなものとなる。また、本土の株式市場は政策的要因に大きく左右されるため、政府関係者の言動は市場の変動を引き起こすのに十分。これまで、当局はメディアを通じて株式市場を冷やそうとしてきた。 最後に、中国本土の低質な銘柄が非常に高水準な価格となっている点であり、そのような銘柄のバブルがはじけてしまうと、投資全体の雰囲気が引きずられてしまうことを忘れないでいただきたい。